C2骨折で、両肩が痛い?
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はじめに
本日は研修医の救急症例カンファレンスです。
友人宅へ続く小高い土手から滑り落ちた70台の女性です。
頭頂部の打撲、全身の擦過傷で
頚部痛、両肩痛を主訴に救急来院されています。
後頚部から両肩、肩甲間にかけての激しい痛みがあります。
初療での診断
救急部でまずは
頭部-頸椎-胸部(両肩関節)CTまで撮像し、明らかな骨傷なし(研修医)。
頭部打撲、頸椎捻挫、外傷性頚部症候群
しかし痛みが強く帰宅困難なので整形外科で入院させてほしい
ということでした。
コールに対応した専修医の診断
コールにて整形外科専修医が対応しています。
さすがです。
CTにてC2の横突起骨折に気が付きました。
C2横突起骨折、外傷性頚肩部症候群
です、と指導医へ。
指導医の診断
この診断で痛みの説明がつきますか?
本人は両肩甲骨間を結構いたがりますが、なぜでしょう?
体動時に強いという特徴があります。
以下、指導医の思考をまとめます。
・骨傷なし、としたがC2の骨折に気がついたのはよかった
(ただ横突起骨折ではなくて、プラス椎体縦骨折)
・痛みの範囲はC2骨折由来、それでよいのか?
・C2であれば後頚部から後頭部にかけて放散するようなもの
・患者さんは肩甲間と両肩に放散した痛みの訴えがある
・体動時に強い
→
・今回頭蓋に頭頂部から軸圧がかかっている
→
・C2だけに軸圧??
・いやC2以外の骨も軸圧の損傷を受けている可能性を考えよう
→
・とくに頸胸椎移行部は注意が必要な部位
・肩甲間、両肩にひびく痛み、ならなおさら注意しましょう
その目でCTを見なおしてみると、
T1の上終板の陥凹と前上壁のtear dropの骨傷を疑えますよね?
MRIを撮像すれば、もちろん答えはですのですが
MRIは診察のもとに、疑いをもってオーダーしましょう。
よって、MRIは、単純に頸椎MRIとオーダーせずに、
「C2骨折と頸胸椎移行部に椎体骨折を疑うので、
なるべく撮像範囲が広くなるようにお願いします」
とコメント記載しました。
結果、C7、T1、なんと、T5椎体にも骨傷を認めました。
カンファレンスの役割
当事者への場末の指導とは異なり
カンファレンスは参加者全員と症例を共有することができる
のが大切な役割です。
すでに答えがある場合も、これから答えを探す場合も
一症例で、参加者全員と考察できるので重要です。
なにか一つでも勉強できることを吸収してほしいです。
で、勉強になりました、と。
それは何よりでした(笑)。
本日のまとめ
患者さんの痛みはしっかり傾聴しましょう。
外傷では痛みの由来が一つの病変からとは限りません。
他部位に合併した骨傷を念頭において診療しましょう。
受傷機転、メカニズムを想像しながら診察しましょう。
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
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