教科書を書き直す医師を目指して!
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はじめに
m3.comに大変興味深い記事がございました。
わたしは
・m3.com
・ケアネット
・Medical Tribune
などで気になった記事をななめ読みしています。
ひとつの診療科にとどまらず、さまざまな情報が得られるので
割りと重宝しています。
記事紹介
本日は、m3.comで読んだ記事をご紹介致します。
医療維新、私の履歴書
浅香正博 北海道大学名誉教授の記事で、
教科書は「学ぶ、応用する、作り変える」Vol.30
です。
臨床のどの診療科を専攻したとしても、一生懸命努力することは特に若い時代には必要と感じています。この時期は新しいことがどんどん身に付く厳しい中にも生きがいを感じ、楽しさを見い出せる貴重な日々でしょう。
ここからは北大医学部の場合ですが、専門領域の研修をして数年経つと、教授から大学院の入学希望の有無を聞かれます。入学すると、どのような研究が希望なのかを聞かれ、特に希望がない場合はその教室が継続して行っている研究への参加を指示される場合が多いと思います。場合によっては、基礎の研究室へ行くよう指示される場合もあります。大学院の研究は、期間が4年と決まっているので、あまりにも壮大なテーマを与えるわけにはいきません。
〜中略〜
大学院を卒業すると、再び臨床に戻るケースが圧倒的と思われます。専門医のコースを目指して再び走り始めるのです。学位は必要ないという人は専門医を早く目指せるので、より早期に取得できる可能性が高いと思われます。
臨床の腕を磨いている最中に、研究という「寄り道」をすることが良いかどうかは、個人の考え方に委ねられるでしょう。
臨床の腕を磨くことに対して、
研究を寄り道と捉えている節があります。
わたしも実際そう思っておりました。
臨床研究を知るまでは。
北大医学部の場合、医学博士の学位は、医学部の助教になるとき、そして海外留学のときの二つが考えられます。助教は大学院生の指導を行うために必須です。海外留学の際、米国では優秀な研究者を望んでいますので、わが国の医学部を卒業して得られるMDだけでは研究者として認めてくれないので必要になります。そのため研究者として、実績のあるPhDを取得しているという条件が必ず付いてくるのです。
ですから、
「大学に残らない」
「海外留学をしない」
という医師には学位取得は必須のものではありません。
しかしながら、研究が臨床に全く役に立たないかというと、決してそのようなことはありません。疾患に関連した研究を行うことによって、その疾患についての病態生理まで奥深く学ぶことが可能になり、また英文論文を読んで理解でなかった部分が明らかに少なくなっていることに気づきます。
医学は絶え間ない進歩を遂げています。肝臓移植で有名な米国の外科医のスターツル教授は、「医学の進歩というのは昨日実現不可能であったものが、今日には実現可能になっており、明日になるとそれが常識になっている」ことの繰り返しであると言っております。
脊椎の分野で仕事をしていると
この5年の進歩はめざましく、必死に勉強を続けています。
基礎研究から導かれた結論の論文は、読んでも全く理解できません。
この医学の進歩を担っているのは、まさしく医師に他ならないのです。このような新しいレールを敷く医師を目指すのかどうか、自分にその能力があるのかどうかの見極めは大切ですが、実際上は分からないことが多いのです。結局はチャレンジしようという意欲の有無が最も重要。
医学の教科書に例えてみれば、卒業当初は教科書を理解することが大切、専門に進むと教科書を応用することが重要になり、最終的には教科書を作り変えることを目指す方向に進むことができれば、悔いが残らないのではと思っています。
医学部学生、研修医、専門医を目指している若い医師の皆さん、医師は人を幸せにできる稀有な職業の一つです。大きな目標を持って一歩一歩進んで行ってほしいと思います。
ここです。
教科書を作り変えることを目指す方向に進む
心に響きます。
ということで、この記事からわたしが感じたことは何か、ともうしますと
教科書を作り変える医者を目指したい!
ということです。
そしてその方法には、
臨床研究という道もある
ということです。
わたしは、この記事でいうところの
・大学に残らない
・海外留学をしない
という選択をした者で、ひたすら臨床の技術だけを磨いてきました。
ところが、ある程度外科医として成熟してくると、
それだけではダメ、という気持ちが湧いてきました。
大学院で研究をされた先生方と比較して
・視野がせまい
・病態の理解が浅い
というコンプレックスが生じてくるのです。
ただ、
・どうしてうまくいったのか、うまくいかないのか、この差はどこにあるのか。
・この所見があると予後に影響を及ぼすのではないか
・教科書、正しいの?
など、様々な角度で生じる日常診療においての疑問は比にならないほど多いです。
この、臨床だからこそ生まれる疑問を解決していくことができれば
大学院の研究とは別のカタチで医療貢献できるのではないか、と、もやもや考えていました。
その答えが
臨床研究のデザイン力
にありました。
医師としての仕事の醍醐味は、
診療で得られた情報を発信して、
これまでの正しいと思われていた医療行動を別の新しいものに変える
ということにあると信じることができました。
まさに朝香先生のこの記事の通り、
教科書を書き直す医師をめざす
ことではないでしょうか?
本日のまとめ
・大学院に4年、ということに抵抗がある
・すでに大学を離れ日々の臨床の仕事をこなす毎日に入っていて、
仕事に変化を見出したい
そんな方は、ぜひ、3日間だけ、デザイン塾での合宿を受けてみてください。
福島県立大学臨床研究イノベーションセンター
第4回會津藩校日新館臨床研究デザイン塾
の案内
きっと新しい道が拓けると思います。
日々の仕事の中にこそ新しい気付きを。
2005年にノーベル医学・生理学賞を受賞したマーシャルは、研修医のころそれほど優秀ではありませんでした。西オーストラリアパース市のロイヤルパース病院での消化器科の研修で彼は消化器内視鏡を希望したのですが、もっと成績優秀な医師に取られ、肝臓病もだめで、残っているのが消化管病理しかなかったのです。そこで病理医ウオーレンと出逢い、ピロリ菌の発見につながるのですが、もし彼が極めて優秀であったなら、内視鏡の専門医になってノーベル賞とは無縁の世界を進んで行ったと推察できます。
★★★
管理人が医者になって最も感銘を受けた本です!!
臨床研究の入り口に立つために必読です!!
もっと若手の時から読んでおけばよかったと思いました。
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