C-armを使い倒す⑤経皮的腸腰筋膿瘍ドレナージ
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はじめに
超高齢化社会で、単純に高齢、というだけでなく
糖尿病、肝硬変、ステロイド長期内服や担癌患者など、易感染性宿主の増加により
脊椎領域にも明らかに感染性疾患が増加しております。
戦わないと敗血症に至り、死に至ります。
むしろ戦っても敗れるリスクが高いかもしれません。
侵襲的な手術が困難な場合が多いので
抗菌薬に対する加療に抵抗する場合は、経皮的なドレナージを行ないます。
(神経症状が出現した硬膜外膿瘍は別)
術前の計測をしっかり
まず術前の計測をしっかり行ないます。
仰臥位と腹臥位なので実際にずれが生じると思いますが
・側面で椎体のどこまでの深さを危険とするのか
・正面で椎体、横突起からどこまで離れると危険とするのか
を測定します。
C-arm設定
腹臥位にてC-armを設定します。
今回は、まず椎弓根経由で椎体内を洗浄ドレナージしました。
腸腰筋膿瘍と感染椎体内のクレフトと連続している場合は
椎体内を吸引するだけで大量に膿瘍がひけることもあります。
今回は画像では連続しているように見えましたが
椎体内のみしか吸引できませんでした。
想定内でしたので、あらかじめ測定したとおりに
鈍針で腸腰筋に直接穿刺してドレナージしました。
正面像
・椎体の外側縁から膿瘍までの距離
・椎体の外側縁から腎臓までの距離
・横突起間の距離
・横突起外側の距離
側面像
・上下椎体の横突起の間から膿瘍に到達する角度
・膿瘍までの深さ
・血管の位置
・腎臓の位置
・腸管の位置
などを慎重に画像でイメージしながら行ないました。
椎体、左右の腸腰筋にドレナージチューブを挿入して終了。
前医でメロペネムを7日継続していたこともあって
培養では起炎菌は検出されませんでしたが
3日程度で解熱され、なんとか感染のコントロールがつきました。
腹臥位と仰臥位での腸腰筋の位置のずれ?
先にも述べましたが、CTやMRの測定は、基本仰臥位です。
しかし実際の手技は腹臥位で行います。
手技を行っているときの感覚としては
測定値よりわずかに深めに挿入しないと膿瘍が吸引されない
という印象です。
しかし、深く入ると腸管や血管、臓器の損傷など心配です。
本日のまとめ
C-armを用いて腸腰筋もドレナージできますが、
仰臥位と腹臥位では臓器の位置がずれると思います。
体位で腸腰筋の位置が多少ずれるのか
鈍針穿刺のために腸腰筋がしなってしまうのか
このわずかな測定とのずれの感覚が真実であるのかどうか
を検索できる研究デザインを目下検討中です。
腹臥位、仰臥位を測定する、なにか別の倫理的に許される機会があればなあ、と。
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