腰痛疾患における心理社会的要因のスクリーニングの問題
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はじめに
現状のわたしの非特異性腰痛の診療において、
ふだんから考えている大きな問題が2つあります。
ひとつは、「ほんとうに85%が非特異性腰痛なのだろうか」ということ。
もうひとつは「心理社会的要因をどう拾いあげるか」ということです。
先日ポストした、山口大学 鈴木秀典先生の論文
「慢性腰痛(非特異性腰痛)」の治療 脊椎脊髄 29(1): 35-41, 2016
では、
腰痛患者のうち非特異性腰痛と診断されていたもの72%は、診断が可能であり、
どうしても診断が難しいものが28%で、これが真の非特異性腰痛の割合である。
よって腰痛患者の78%は整形外科専門医が詳細な診察を行えば診断が可能である。
と結ばれております。
反省し、腰痛診療をアップデート中です。
そしてもうひとつ、心理社会的要因の拾い上げについても興味を持っていることがあります。
心理社会的要因の拾い上げ
この部分は脊椎外科医だけでは困難と感じます。
患者を色眼鏡でみてしまいがちだからです。
精神医学的問題との関連をしっかり評価したうえで治療を行うことが重要と考えます。
この問題の解決策として、かねてからBS-POPについて興味がありました。
BS-POPとは
BS-POPとは
Brief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patients
の略で、
訳するならば
整形外科疾患の患者における精神医学的問題を見つけるための簡易問診票
というものです。
以前福島の臨床研究セミナーに参加したことを報告しました。
福島での第4回「臨床研究デザイン塾」のご案内
そのセミナーでもBS-POPの研究について触れられていました。
BS-POPは、福島県立医大の整形外科と精神科が共同で、
大規模な検証研究を行い、開発したストレスチェックのツールです。
この研究で、BS-POPのよいところとして、
・精神医学的問題をスクリーニングできる
さらにスクリーニングにあたり、
・簡便である、すなわち短時間で行える
・医師側の患者評価質問票と患者側の自己評価問診票の双方の照らしあわせがあること
・性別や年齢、痛みの程度などの影響をうけずに精神医学的問題を評価できること
などを結論づけることができております。
本日のまとめ
非特異性腰痛は、治療が非常に難しいです。
診断が的確にできないこともありますし、
心理社会的要素がだいぶ含まれているようなら
脊椎外科医のみならず、精神科医、理学療法士、看護師、薬剤師、臨床心理士など
種々の職種とのチームワークで治療にあたることができれば
よりよい成績が得られるもの信じます。
心理社会的要因は治療において無視できない要素です。
わたしたちもBS-POPを導入してみて、また感想を述べたいと思います。
MRI診断時代となり、
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年9月25日
「MRIで病変を描出されなければ、すなわち異常なし」
との風潮があります。
慢性疼痛ではMRIで診断、というアプローチは決して正解ではないと思います。
大事なことは、患者さんのADLやQOL評価から疼痛にアプローチしていくこと。https://t.co/C4lKlWnsjq
★★★
管理人が医者になって最も感銘を受けた本です!!
臨床研究の入り口に立つために必読です!!
もっと若手の時から読んでおけばよかったと思いました。
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