Modic type 1と感染は区別がつかない
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はじめに
MRIは脊椎診療において強力な補助診断ツールです。
ただしMRIの所見は特異的ではなく、そこから鑑別していく必要があります。
何度も何度も悩まされる化膿性椎体椎間板炎の所見です。
症例提示
80台、男性で、急激な腰痛と発熱で来院されております。
もともと他院でMRI予定だったのですが、
痛くてその予約日まで待てない、といった理由で受診されています。
採血では軽度の炎症反応を認めました。
幸い、当日にMRIを撮像することができました。
Modic change? Instability? Infection?
正直、わからない。
ほんと、よくある話ですよね。
XpではDISHでした。
L3/4は上位と下位のDISHの断端椎で、
化膿性椎体椎間板炎を第一に考えつつ
棘突起間のSTIR高信号も認めるので不安定性の影響なのかな、と。
入院してもらい胸部腹部CT、尿検査、心エコーを行ないましたが
明らかな熱源を認めませんでした。
椎間板生検をしてみたけれど
やはりL3/4が熱源と考えて
椎間板生検を行ないました。
しかしfluidやabscessのような所見は得られず、
やっぱり感染はないのかな?と。
ところが炎症反応が悪化していき、
腰痛もまったく軽減を認めないため、
結果的に抗菌薬を使用しました。
血液培養はnegativeでした。
悩ましい。。。
7日後に撮像したMRIは、
痛みに伴う体動のためにかえって評価が難しくなってしまいました。
PETか・・・
千葉大学の大鳥先生は、Spineに、
FDG-PETがModic type Ⅰと感染椎体の鑑別に有用と報告されております。
Ohtori S, et al: 18F-fluorodeoxyglucose-PET for patients with suspected spondylitis showing Modic change. Spine (Phila Pa 1976) 35:E1599-1603,2010
4週間以上の慢性腰痛を認める患者で
X線とMRIから脊椎感染が疑われた18例に対してFDG-PETを施行。
最終的に感染と診断された11例の診断結果が、当初のPETのみ一致していた。
やはりPETでしょうか、、、、
検査費用もあるし、他施設でも感染疑いで、スムーズに撮像してもらえるのでしょうか、、、
この症例では、繰り返しMRIを撮像することで、
やはり感染であり、抗菌薬加療で改善を認めないために
後方MIStと自家腸骨による前方固定を施行して治癒を得ることができました。
難しい!!
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コメント
コメント一覧 (2)
このような場末のブログに訪問いただき、誠に恐縮です。
そしてコメントいただき、感謝申し上げます。
この症例の前方自家骨移植は、XLIFの開創器を用いて行ないました。
左腎臓摘出後であったため、左側臥位とし、右後腹膜腔アプローチとしました(汗)。
5cm程度切開して通常のアプローチより若干小さく展開し、psoasを確認して、XLIFの開創器を挿入しました。
終板、椎間板を郭清して、自家腸骨片をXLIFの手技と同じように腸骨片を打ち込むことで、まずまずの出来を得ることができたと思います。
記事の最後に写真を添付いたしますのでご批判を頂きたく存じます。
後方はキャスパー開創器を用いてL3/4に最小限での除圧を行ない、PPSを用いて後方制動固定を行ないました。
固定範囲に関してはいろいろなご意見があるかと思いますが、
T1 low、T2 highが椎体の半分程度だったことと、手術は採血で炎症反応が陰性化してから行ったことにより、L3-4にもスクリューを刺入しました。4-5-SまでDISHの癒合椎体だったのでL2-3-4-5-Sまでスクリュー固定しています。
この症例ではXLIFの開創器は有用と思われましたが、わたくしの経験数は、まだまだ少なく、推薦させていただくほどの知識はございません。申し訳ございません。
むしろ、しょいさまに何か有用な方法をご教示いただければ幸甚に存じます(汗)。
ちなみにこちらの症例だと、L3の辷りは前方郭清時に戻りましたでしょうか?
前方自家骨移植をするときのスプレッダーでなにかおすすめはありますか?