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はじめに


脊椎固定術後の感染の治療は非常に難渋します。
人工物が入っているために表面にバイオフィルムを形成してしまうことがその一因です。

MIS手術を導入してから、明らかに術後感染は減りました。
しかし、ゼロにならないことも事実です。

バンコマイシンパウダーの創内散布は感染予防に一定の効果があるとの報告が散見されます。

最近ではさらに術後の感染の沈静化にも有効なのではないかとの見方があります。

脊椎固定術後感染、通常の治療


通常、脊椎固定術後の感染に対する治療は
・洗浄、デブリードマンの徹底した局所療法
・適切な抗菌薬の投与
・インプラントの抜去

が柱になります。

ただインプラントを抜去すると当然、術後の不安定性が生じてしまいます。
よって患者さんを臥床にせざるを得ず、ADLを著しく低下させてしまいます。

これは患者さんにとって本当につらいことです。
なんのために手術したの、、、と聞こえてきます。

さらに看護師にしてもリハスタッフにしても栄養士さんにしても
とにかく多大な労力を必要とします。

バンコマイシンパウダー散布でインプラントを温存できるのか


そこで、せめてなんとかインスツルメントを抜去せずにすまないか、ということになります。

わたし自身は術後感染にバンコマイシンパウダーの散布を経験したことはないので
よいともわるいとも書くことはできないのですが、
感染の鎮静に有効でインプラントを温存できたとの報告を散見します。
それならば、やはり選択肢の一つとして考えておくべきなのか、とも思います。
周術期の抗菌薬の適正使用について

方法としては
・フィブリノーゲン溶液を散布
・バンコマイシンパウダーを散布
・インプラントや創部を覆うくらい
・トロンビン溶液を散布
です。

・ただし保険収載の面やガイドライン上の問題
・副作用の問題(腎機能障害、聴力障害やred man症候群など)
などがあります。
・耐性菌の出現の問題(バンコマイシン耐性MRSA)もあるでしょう。

本日のまとめ


バンコマイシンパウダー散布が独り歩きしないよう、
先に述べた局所療法や適切な抗菌薬投与の徹底が重要なことはいうまでもありません。

感染が予防できればよいのですが、
昨今の高齢化社会やcompromised hostの増加を鑑みると
人工物を入れる手術には、立ち向かっていかなければならない壁がどんどん大きくなっております。。。