SAI screw刺入のポイント。tear dropの映し方について。
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はじめに
腸骨には太くて長いスクリューを刺入することができるので
非常に強力なアンカーとなります。
成人脊柱変形の手術やMOBのsalvage手術など
腸骨にスクリューを打つ機会は年々増えていっていると思います。
ただ腸骨スクリューと腰椎あるいは仙椎スクリューとのロッドの連結は
術前から刺入点をしっかりイメージしておかないとけっこう難渋したりします。
一方で、SAI (S2l alar - iliac) screwは、S1 pedicle screwのヘッドと
一直線に並べることができるため、ロッドの連結が比較的容易です。
SAIスクリュー刺入のポイントをまとめました。
tear dropを描出するために
熟練した先生は腸骨スクリューをフリーハンドで打たれております。
内板を抜いたら骨盤内臓器や血管損傷に至り、致命的です。
外板を部位ても部位によっては動脈損傷の恐れがあります。
よって基本的には初心者は透視を使ってスクリューを打つべきでしょう。
たとえ熟練したとしても透視を使うことを否定することはないと思います。
とくにSAIは内板と外板、坐骨切痕で形成されるtear dropを描出しながら刺入すれば、
的のど真ん中にプロービングするだけなので非常に安全に刺入できます。
検討しておくこと
①S1、S2の後仙骨孔が明瞭に見える角度。
だいたいcranial 20°程度でしょうか。
スクリューの刺入点を決めます。
②坐骨切痕と腸骨内板・外板で形成されるteardropが明瞭に見える角度。
だいたい、cranial 20-30°、lateral 30-50°の間です。
③rod連結のアライメント。矯正したいLL; lumbar lordosis。
図では、cranial 20度から30度にふると坐骨切痕で形成されるtear dropの下縁が
臼蓋を乗り越えてしまうので安全ではありません。

tear dropは、腸骨内に収まって、かつ最大になる角度で設定します。
SAI刺入点、仙腸関節は的外なので、最初に①で設定した指摘な刺入点から
仙腸関節を貫き、tear dropの的の中心にくるように刺入していけばよいのです。
透視があるということは非常に容易にスクリューが打てるということです。

ジャクソンテーブルだとよいのですが
通常ベッドだと、透視がベッドの脚に衝突して
tear dropが作れないことも発生するようです。
正面透視だけでは、スクリューが逸脱したかどうかを判定するのは難しいです。
inlet viewおよびoutlet viewを用いてある程度判定できますが
外壁穿破は判定ができないことも多々あります。
十分な注意が必要です。
本日のまとめ
腸骨スクリューは非常に強力なアンカーとなります。
SAIスクリューについては仙腸関節を貫くことに対して賛否両論ありますが
いわゆる通常の腸骨スクリューに、
low profile S1-iliac screw trajectoryによる腸骨スクリュー
そしてSAI
といくつかオプションをもって手術の作戦をたてることが
治療の武器になるのではないでしょうか。
★★★
MIStに関わろうとしている脊椎外科医へ。手技に関する待望のバイブルが完成です。
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