カテゴリ:
スポンサードリンク

はじめに


脊髄脊椎手術をより安全に行うために
術中脊髄モニタリングを行っている施設が増えています。

わたしも定期手術であれば例え腰椎であっても
全例、MEPとSEPを併用してモニタリングを行ないます。

最近臨床工学技士さんのおかげでBISについて学ぶ機会を得ました。

05

MEP成否のカギ


MEPの問題点に、
false positiveがあります。
それはつまり、
MEPでは振幅が低下しているにも関わらず術後麻痺なく経過する、
というものです。

感度のよさがよいところでありますが、ゆえに、false positiveも多く、
結局、何のためのモニターなんだ?
ということになってしまうのです。

MEPの成否の鍵として、
・刺激条件:低電圧、定電流
・刺激強度:V、mA
・刺激感覚:
・トレインパルス数:モノフェージック、バイフェージック
・刺激電極位置
・被験筋

があります。

MEPが出ない時、
わたしはそちらのほうばかり気がいっておりました。

MEPは麻酔深度の影響を受けやすい


そうです。
わたし、これまで麻酔深度についてなんの考察もしておりませんでした(麻酔科の先生に丸投げ)。

基本的には吸入麻酔薬ではMEPは出ません(反対の立場の論文もあります)。
よって、レミフェンタニルとプロポフォールの麻酔でモニタリングを行っている施設がほとんどでしょう。

BISで麻酔深度をモニターする


麻酔深度のモニターとして研修医時代に、筋弛緩に関して、
TOFカウント(Train of four;四連収縮反応)
を見ながら麻酔をかけていたことを思い出されます。

アップデートされていないわたしの知識に、
BISモニターというものを教わりました。

Bispectal indexの略で、
・2誘導の脳波を解析して麻酔下の患者さんの意識を0〜100の数値で表すもの
・値が大きいほど覚醒している
・値が低くなると意識レベルが低下している
・適切な鎮静状態としては40−60

のようです。

つまり、60以下であれば患者さんに意識のある可能性は極めて低いということになります。

BISガイドライン
100; 覚醒、浅い〜中等度の鎮静
70; 深い鎮静、浅い催眠(想起の可能性が低い)
60; 適切な催眠(意識のある可能性が低い)
40; 深い催眠
0; EEGがフラット
ということのようです。

MEPに適切な麻酔深度は50-60とされているようです

本日のまとめ


麻酔深度は麻酔科医の経験によるものと思っておりました。
現在はBISで脳波をモニターして適切な麻酔深度を客観的に数値化できるようになっていました。
適切な脊髄モニタリングを得るためには
いろいろな方の力が必要ですね!