強直性脊椎骨増殖症の後方アプローチは体位が重要
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はじめに
ASHの後方アプローチでは術中の体位が非常に重要です。
ASHとは、
強直性脊椎骨増殖症(ASH:ankylosing spinal hyperostosis)
靭帯が骨化して竹の節のように脊椎が連続して固まっていく病態です。
1950年にForestierにより報告されました。
耳鼻科領域ではForestier病として嚥下障害をきたす疾患として捉えられています。
教科書的な表現を用いると、
前縦靭帯を中心に脊柱靭帯のびまん性の連続した骨化を伴って脊椎が強直に至る病態
です。
基本的に,無症状で経過します.
加齢に伴う非炎症性変化で,高齢の男性に多く,
2型糖尿病や肥満症などの内分泌系疾患の関与や生活習慣との関連性が示唆されております。
昨今の高齢化社会を反映して確実に増加傾向にあります。
骨は見た目に反して実はもろい
骨はレントゲン上、一見強そうなのですが、骨廃用のため、実際は弱いのです。
軽微な外傷で容易に骨折してしまうことが問題です。
例えるなら、千歳飴とかろうそくがぱきっと折れるみたいな感じです。
骨折はいわゆるチャンス骨折で、
放っておくと脱臼に発展してしまい遅発性神経障害をきたします。
最悪、脊髄損傷をきたしてしまいます。
もともと後弯で固まっていることが多いため
骨折すると、木こりが木を倒すように、脊柱の切れ目から倒れていきます。
よって基本的に強力な内固定が必要です。
文献的には3 above 3 below以上の固定が推奨されております。
術中の体位が重要

ただ、もともとアライメントは後弯で固まっていることが多いために
手術での後方アプローチでは体位が非常に重要になってきます。
通常とおり4点支持固定器具で体位をとると
骨折部を支点に開大されてしまうため、骨折を離解させ、かえって悪化してしまうためです。
なるべく本人のもともとのアライメントになるように体位をとることが重要です。
体位をとるまでの手順
今回はT6椎体のチャンス骨折でした。
ジャクソンテーブルをハンモックにして股関節屈曲後彎位に調整しています。
腹臥位にした直後にまず、SEPを用いて問題がないことを確認しつつ、
同時に透視でアライメントが悪化していないか確認しました。
いろいろ落ち着いてからは筋弛緩をリバースしてもらって
MEPを用いて問題がないことを確認し、
手洗いに向かいました。
ドキドキでした。
本日のまとめ
高齢化社会を反映して、ASHは非常に多くなりました。
非骨傷性の頸髄損傷もそうですし、
逆に今回のように、軽微な外傷に伴うチャンス骨折にも度々遭遇します。
手術の体位でかえって悪化させてしまう可能性もあるので
体位は、慎重に、慎重に、慎重〜にとりましょう!
何か工夫があればご教示ください!
スクリューは腹臥位で打つもの
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年12月27日
という固定概念を覆した成田渉先生は本当にすごい方だと思います。
側臥位で経皮的スクリューを打つ。
自分なりの今の考えとして、側臥位のPPSのメリットをまとめました。https://t.co/yddTgxv1uO
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