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はじめに


軸椎(C2椎体)骨折は全頸椎損傷で5%程度の頻度で発生されるとされます。
そのうちハングマン骨折は約20%で、C2骨折で2番めに多い頻度です。

病態は
bilateral isthmus fracture of the axis
つまり軸椎の両側の関節突起間骨折で、
C2/3の椎間板損傷や前、後縦靭帯、棘間靭帯の損傷などを伴うと
その不安定性から、軸椎分離すべりを起こします。
traumatic spondylolisthesis of the axis
と表記されます。

内固定の方法は


内固定の方法として、病態からは、C2/3の前方固定が推奨されます。

しかし、
アクセスが困難、かといってtransoralだと清潔に難あり。
そして術後の気道の問題は致死的、
などの問題があります。

わたし自身はC2/3高位以上の前方アプローチの経験はありません。

昨今は、instrumentationやナビゲーションの発展により
後方アプローチが盛んです。

よってハングマン骨折に対しても、
C2-3の前方固定よりも、C2-3の 後方固定が選択されることが多いのではないかと感じています。

だたし、後方のアプローチの難点としては、
・骨片の数、大きさ、gapの程度
・椎弓根のサイズ
・high riding VAの存在
などによってC2 pedicle screwやpars screwの刺入が困難、
あるいは刺入できるスクリューの長さや深さが制限される場合があります。

また、C1やsubaxialに骨傷を合併していることもしばしばあります。

そうなってくると治療の方法の判断に迷います。

アプローチについてまとめます。
図は、Philipp Schleicher, et al; Global Spine J 2015;5:346–358.より。
001


前方アプローチ
・C2/3前方固定 cage with/without plate

アクセスの問題、術後気道閉塞の問題があるが
病態には適している。

後方アプローチ
・C2/3の後方固定
・C1-2-3の固定
・C2骨折をまたいでC1-3固定
・C3のみならず4、5まで延長するか

・C2の骨折部のみスクリュー固定(transpedicular screw fixation)
Direct screw osteosynthesis。
これは、基本的にtype I injuriesのみ適応で、maybe type II。

あるいは前方、後方併用

C1-2まで固定してしまうと回旋を犠牲にしてしまいます。
しかしC2のscrewの状況によってはC1も巻き込まざるを得ないこともあります。

001


提示症例はC2が両側high riding VAであったため長くて太いPSを刺入できず、
そのためフルスレッドのスクリューを選択せざるを得なかったので
C1-2-3固定としました。
C1後弓も大変細かったのでnotch法で刺入しています。

本日のまとめ


ハングマン骨折(軸椎関節突起間骨折)の内固定の方法は
さまざまな要素から考えなければならないです。

ハローベストの合併症は決して低くはありませんので
自分としては、type Ⅱ、Ⅱa、Ⅲでは全身状態が許容されて、骨折の形態が固定可能ならば
積極的に内固定を行い、早期離床を目指すのがよいと思っています。

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