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はじめに


脊椎術後の管理において、絶対欠かせないものに神経症状の確認があります。

術後麻痺が出現したあるいは悪化した場合は、緊張感が走ります。

血腫などの重篤な障害が発生している可能性が高いため、
緊急での再手術が必要になるかもしれないし、
場合によっては永続的な障害となる可能性があるからです。

運動障害の評価の方法は?


実際、みなさんはこの運動障害の早期発見のために、
どのように評価されているのでしょうか。

医師・・・診察?
看護師・・・観察?

実際にMMTで筋力を評価していますか?
本人に「大丈夫?」と尋ねているだけですか?

きちっと行われているのか、行っていることが個人個人で異なりはしないか。

判断が難しいですよね。

主観的な要素もあるし、術後は痛いですし、
認知症があったり、術後せん妄があったりと協力が得られないケースもあるでしょう。

また、症例によって手術の高位もいろいろ異なります。

正直、個人個人でまちまちな結果になってしまうのではないでしょうか。

指導することって難しいなあ、と感じていた今日このごろ
The Spine Journalの12月号の論文を紹介します。

Knee-up testとは


“Knee-up test” for easy detection of postoperative motor deficits following spinal surgery
The Spine Journal 16 (2016) 1437–1444

著者は総合せき損センターの弓削至先生で、前向き研究Prospective studyです。

簡潔にいえば、
膝を曲げた状態を維持できるか、出来ないか?

非常に簡潔です。
001

術後運動障害をいかに早く発見するか


抜管後早期は患者さんはまだ軽い鎮静状態にあるため、
指示が協力的に入らないこともあるわけです。

そんな状態で術後の新たな麻痺の出現にいかに気づくか、あるいは大丈夫と判断できるかどうか。

これは、容易ではありません。

術中は脊髄モニタリングを行っていても限界があります。
すべてを信用していいわけではありませんし、
かといって都合のいい結果だけを信用するようでは意味ありません。

この論文の研究では、術後筋力低下を
The Manual Muscle Testing criteria for new-onset neurologic motor deficit after spinal surgery consisted of motor weakness leading to a decrease in score of at least two points compared with the preoperative score in more than one muscle within 12 hours after spinal surgery.

徒手筋力テストで術前スコアと比較して、脊髄手術後12時間以内に、
複数の筋において少なくとも2点のスコア低下をもたらもの

という基準にして、knee-up testが陽性か陰性か、
つまり膝立てを維持することが可・不能で前向研究すると、
感度88.9%、特異性99.8%、陽性的中率94.1%、陰性的中率が99.6%
という結果だった、というものです。

Hip flexors, hip adductors, and hip abductors were the statistically significant muscles for keeping the knee in its lifted position.
Anatomically, the hip flexors are innervated by the L1–L4 nerve roots, whereas the hip adductors are innervated by the L2–L4 nerve roots, and the hip abductors are innervated by the L4–S2 nerve roots
Indicating that results of the knee-up test may be influenced by dysfunction of nerve roots L1–S2.


膝立てが維持できないということは、L1-S2までのいずれかの神経根の機能不全があるはずです。
002

論文のなかには、管理においては繰り返し神経症状の評価を行うべきことの重要性も述べてあります。
このknee-up testは、術後の研修医の評価、コメディカルスタッフの病棟管理についても、簡便にできることがメリットです。

・研究が単一施設であるため、他施設でも同等に行えるかどうか
・麻痺が生じた例538例中18例と少ないので正確かどうか

ということで Level Ⅱ evidence とのことです。

また股関節や膝関節に疾患があれば正確ではありません。

以上より
・術後に膝立ができないならば何か理由があるはず
・逆に可能であれば、99%以上の症例では運動障害はなかった

ということでした。

評価法の標準化や手技の統一化は管理のうえで非常に重要なことです。

Knee-up test。

これはぜひ、病棟のスタッフにぜひ浸透させようと思いました。

本日のまとめ


臨床研究とはほんとうに素晴らしい事です。
わたしも、この論文のように、
・読んだ直後から医師の行動を変えられるような、
・明日の臨床にすぐに活きるような
そんな論文を書きたいと思い続けています。

★★★
管理人が医者になって最も感銘を受けた本です!!
臨床研究の入り口に立つために必読です!!
もっと若手の時から読んでおけばよかったと思いました。