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はじめに


昨年7月に薬事での有害事象の問題で、
NuvasiveのXLIFの電気刺激装置の自主回収が行われ、XLIFが行えなくなりました。
NV M5神経モニターシステム構成品の自主回収の案内が届く

12月28日付けで厚生労働省より、下記を遵守した上でのXLIF再開の許可がでました。

・承認条件を満たす適正な施設
・十分な技能を有する医師


が必要十分条件、不可欠な項目として記載されております。

この厚労省のお達しを受けて、日本脊椎脊髄病学会は承認条件のガイドラインを策定しました。
まとめます。

求められる施設基準とは


求められる施設基準は
A) 腰椎前方手術の経験を有する脊椎外科指導医(日本脊椎脊髄病学会もしくは日本
脊髄外科学会の指導医)が在籍する医療機関であること。
B) 当該医療機関内に、血管損傷や腸管損傷等の手術経験を有する外科医が常勤し、
緊急手術に対応でき、ICU を有すること。
C) B)を満たさない実施施設は、二次または三次救急医療機関と連絡をとり、対応を
確認しておくこと。これについては書面にて相手先の署名をもらうこと。

です。

つまり
・指導医が常勤
・ICUがある
・サポートしてくださる外科医あるいは血管外科医が常勤
・そうでないなら連携機関からサポートしてもらえる医師に署名をいただく
ということですよね。

民間の単科病院での手術のハードルが高いかもしれません。
また、医局との関連のない中規模民間病院も条件が整わないかもしれません。

また、このような明確な基準ができるとなると
わたしたち脊椎外科医のみならず、
呼吸器外科、泌尿器科や婦人科など胸腔鏡、腹腔鏡手術を行うところや、
ほかにも胸腹部臓器を扱う科の施設も基準化されていくのかもしれません。

単科病院での手術が今後も継続されるのか、可能なのか動向を見守る必要がありそうです。

十分な技能を有する医師とは


十分な技能を有する医師とは、
A) 術者あるいは第1助手として5例以上の腰椎前方手術の経験を有すること。
これを証する為に、メーカーが収集を義務付けられた宣言書において、 腰椎前方手術の実経験の開始年と、術者あるいは第 1 助手の各々に分けて、 凡その症例数について自主的に記載すること。
B) 本手技の有効性と安全性を確保するためには、本手技に関する十分な知識及び技 量を有する医師が使用することが重要であることから、メーカーが関連学会に諮 り、学会が認定したトレーニングを受講すること。


術者として20例、いや10例、いや、助手として◯◯例
などいろいろな噂がありましたが、上記のように明文化されました。

こちらも脊椎外科のみならず、
新規の技術の導入にあたっての症例数の目安になっていくのかもしれません。

一度見学したから自分の施設でも始めよう、ということに制限がかかるかもしれません。

本日のまとめ


脊椎脊髄病学会の理事会に
再開にあたり二度と同様の事故が起こらない様に、
XLIF 手技を今後とも国内にて 安全に継続して使用できる環境を整えることは、
日本の医療技術を高める上で必須である

とあります。

まさにその通りだと思います。

あらゆる手技にはピットフォールが存在します。

XLIFに限らず、いかなる手術でも痛ましい合併症が起こらないよう
十分に気持ちを引き締めて望みたいと思いました。