DISHの後方固定手術の工夫
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はじめに
救急病院に勤めていると
DISH:diffuse idiopathic skeletal hyperostosis
びまん性特発性脊椎骨増殖症
に伴う骨折に比較的多く遭遇します。
DISHは容易に骨折してしまう
脊椎が強直椎となってしまうため、
一見、骨は強そうです。
しかし実際は骨廃用のため、軽度の衝撃でポキっと折れてしまいます。
DISHは容易に脱臼してしまう
強直椎は竹の節のようにおのおのの椎体同士が固定されているため、
骨折した後は、骨折部を屈曲点として
容易にずれて偏位して、脱臼を生じてしまいます。
非常に怖い病態です。
DISHの骨折は three culmn injuryと判断せよ!
とはよく言われます。
手術方法について
高齢者に多いために
合併症を有している患者さんがほとんどです。
よって低侵襲手術を選択したいところです。
治療成績についてはまだまだ討論されておりますが
最近は経皮的椎弓根スクリューによるMIStでも良好な報告が散見されるようになりました。
わたしはDISHの骨折をみたら
基本的に早期手術早期離床を考えます。
そして今はPPSでの3 above - 3 belowでのPSFに取り組んでいます。
アライメントに負荷がかからなければ、良好な治療経過を得ることができると思っています。
PSのトルクを獲得する工夫について
先にも述べたとおり骨廃用のために椎体はスカスカです。
スクリューを刺入しても十分にトルクがかからないことが往々にしてあります。
口演の際に座長の先生や、フロアの先生方から大変ありがたいアドバイスをいただきました。
その際の工夫としては、エビデンスとしては論じられませんが、
・椎体内にHA顆粒などを詰めてスクリューを打つ。
これは経皮的手技でも可能。
タップを切ったあとならば透視下にHAのインサーターを挿入することができるからです。
ありがたい!
そしてスクリューを椎体内ではなく、
あえて椎間板を抜いて上の椎体あるいは下の椎体を貫くことも一つのアイデアだ。
そうすることでtricorticalでのスクリューのトルクを得ることができる。
ありがたい!
今後の手術の引き出しにいれておこうと思いました。
本日のまとめ
実践している人なら当たり前のことが
施設が違えば手技も工夫もさまざまです。
学会や手術研修の良いところのひとつは、
このように治療の引き出しを増やすことが出来ることです。
DISHの治療は苦労は多いですが、それでも患者さんが元気になってくれる姿は嬉しいです。
治療の引き出しが増えていくように今後も活動を続けていきたいと思いました!
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★★★
MIStに関わろうとしている脊椎外科医へ。手技に関する待望のバイブルが完成です。
コメント
コメント一覧 (2)
コメントありがとうございます。わたしもメダクタの担当の方に動画を見せていただきました。ts2611さんのおっしゃるとおり開大が強いextension-distraction typeの骨折をきたしたDISHを腹臥位にすることは非常に困難だと思います。側臥位でのAP viewでのPAK needleの刺入の仕方や、下側のスクリュー刺入の清潔操作をいかに保つか、DISHで椎弓根がはっきり見えないときの操作、透視のセッティングの仕方などいろいろお聞きしたいことがたくさんあります。側臥位PPSを手技の選択肢として柔軟に活用できるようになりたいですね〜。
後弯が強めの方の場合は前方が開大してriskyなので、側臥位でPPS入れる技術はぜひ習得したいと思いました。また、LIF+PPSでも使える技術ですので今後普及しそうな気がします。
ドレープその他諸々の準備が楽なこと、体位変換がないので看護師、麻酔科医にも受けが良さそうです。