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はじめに


先日脊椎診療科において多発性骨髄腫に遭遇する機会が多いのではないか、と記事にしました。
初回骨折がmyeloma-associated fractureと見抜けなくとも

・多発椎体骨折
・短期間で骨折が再発するもの
・骨折の圧潰が強いもの

などは多発性骨髄腫による病的骨折を疑わせる可能性のある所見ではないかと思っています。

アルブミン/グロブリン比の低下に注目すべき


総蛋白の値、Hb、Cr、Caなど異常値があれば引っかかりますが
年齢や異常値の程度によってはacceptableと判断して
それ以上検索すべきかどうかわからないこともあるかと思います。

データを見直していたら、はっと気が付きました。

全員A/G比が低下しているのです。

当たり前といえばそうなのかもしれません。
わたしはそこまで慎重にこの値を見ておりませんでした。

これまでの診療について猛省しています。

アルブミン/グロブリン比の再考


血清中の蛋白は、電気泳動によりアルブミンとグロブリンに分かれます。
“ご存知のように”と記載したいところですが、
すでにこのあたりから不安になってきました(汗)。

グロブリンはさらに
・α1グロブリン
・α2グロブリン
・βグロブリン
・γグロブリン
の4種類に分けられます。

A/G比(アルブミン/グロブリン比)は、
血清中のアルブミン量/グロブリン量なので
多発性骨髄腫では低下しております。

肝障害、ネフローゼ症候群、たん白漏出性胃腸症、栄養不良など
でA/G比は低下しますが、
これらの疾患群はわれわれ脊椎診療科の初診の受診動機になりません。

いつの間にかA/G比については考えていなかったのです。。。

教科書には
A/G比が低い場合は、多発性骨髄腫やマクログロブリン血症などが疑われます

としっかり記載されています。

実臨床に対する知識として残っていませんでした(汗)

A/G比が異常な場合に疑われる病気
・アルブミン減少による低値
肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝臓障害やネフローゼ症候群、糖尿病、栄養不良など

・グロブリン増加による低値
多発性骨髄腫、悪性腫瘍、関節リウマチ、マクログロブリン血症など


本日のまとめ


A/G比(アルブミン・グロブリン比)について再考しました。

・椎体骨折で入院している
・椎体骨折が多発している
・圧潰が強い
などの患者さん
・ましてBKPを行う予定の患者さんについては
他のデータ異常があろうかなかろうが
あるいは、異常の大小程度によらず
しっかりA/G比を確認すべきと猛省した次第でした。