カテゴリ:
スポンサードリンク

はじめに


・ハングマン骨折
ー軸椎関節突起間骨折;bilateral isthmus fracture of the axis
ー外傷性の軸椎分離すべり症;traumatic spondylolisthesis of the axis

救急病院に勤めていると結構遭遇してしまいます。

保存加療の方法としてハローベスト装着があります。

しかし、ハローベストの合併症は決して低くはありませんし、本人の辛さも甚大です。
関連記事;ハローベストを装着する際に気をつけたい(教科書に載っていない?)ポイント

わたしとしては、全身状態が許容されて、骨折の形態が固定可能ならば
積極的に内固定を行い、早期離床を目指したいです。

その中で、注意していることがあります。

C1を触る可能性がある手術の前には椎骨動脈を評価する
ということです。

術前には椎骨動脈の評価が大切


耳学問ですが、
ハングマン骨折の手術の際、椎骨動脈が骨折間のギャップにはまりこみ
C2スクリューを断念した、という話を聞いたことがあります。

C1外側塊スクリューを打つ時や骨折が椎骨動脈孔に入っているときは
anomaly解離性動脈瘤などをチェックしておく必要があるわけです。

術前画像でC1に異変が・・・


ということで、ハングマン骨折 Levine Ⅱaの症例です。

術前のVAはややhigh ridingなのですが、
椎骨動脈のC2内側へのクランクはあまりきつくありませんでした。

C2の骨折線に対してしっかり内向きにpedicle screwを打とうと思いました。

術中万が一のためにC1 lateral mass screwを打てる準備をしておこうと画像をみたら、、、

001


通常椎骨動脈は、C1の横突孔をくぐったら、後弓の椎骨動脈grooveを乗り上げて
頭蓋内に入っていきます。

この症例では、なんと、後弓を貫いています!!

これだからVAは評価しておかないといけないのですね。。。

これでは経後弓的にはC1外側塊スクリューを打ち込むことはできません。
不用意に後弓を剥離しようものなら大事故になっていました。

う〜ん、、、
いわゆるnotch法も選択しづらいですね。
Goel-HarmsではC2神経根周囲の静脈叢の出血がイヤ。

C2でしっかりキメないないといけないというプレッシャーのもと
手術を完遂することができました。

本日のまとめ


椎骨動脈の走行は個人差が非常に大きいところです。
術前の準備を怠らないこと大切。
術前評価で危険を回避出来るからです。

C1後弓には不用意に突撃しないことが重要です。
突撃する可能性があるならば、しっかり椎骨動脈を評価しようと思いました。

☆☆☆
血管内治療エキスパートの小宮山先生の知識が詰まっています。
脳脊髄血管学のバイブルです。