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はじめに


LLIFが導入され、多くの研究会でさまざまなポイントを聞くことができます。

手技のポイントも当然大切なのですが、
術前評価のポイントも非常に重要なことです。

研究会や手術見学では、
スパインリーダーの手技経験に基づくたくさんのピットフォールを伺うことができて
わたしの少ない経験値を補うことができます。

今日はLLIFを行う際の、コブで対側の線維輪を貫くことについてです。

コブを用いたLLIFケージ挿入前の軟骨終板の処理


LLIFケージはXもOも非常に大きいです。
椎体辺縁のもっとも固いrimに設置できることが最大のメリットです。

固定力、矯正・復元力は最強だと思います。

ケージを設置する下準備として終板の処理を行ないます。

ケージが大きいがゆえに、侵入側から反対側まで十分にしっかり軟骨終板を処理します

処理が甘いと、、、


十分行う目安として、コブエレベーターが透視下に反対側の線維輪を貫いていることを確認します。

そうしないと反対側の設置が甘くなり、
ケージが侵入側に逸脱してくる
ことがあるそうです。

とくにwedgeして側弯した症例に用いることが多く、
侵入側が開大しているために、注意が必要です。

またX coreに関しても反対側の処理が甘いと逸脱してくることがあるそうです。

コブが貫く先は解剖学的に大丈夫か


よって必然的に、
ケージの進入路のみならず、コブが貫く反対側にも問題がないか
を術前に評価する必要が出てきます。

線維輪を抜くときは、まずは自称
「手掌ハンマー」「げんこつハンマー」
で愛護的に感触を確かめてから、
次いで、ハンマーで抜くようにしています。

後方手術においても、コブは鋭いので硬膜損傷など引き起こすことがあります。

コブは便利な反面、おそろしい、鋭い器具となることを自覚しています。

よって静脈などコブの鋭利な部分が接してしまえば
すぐに損傷してしまうのではないかと思ってしまいます。

アドバイスいただいた症例


L3/4 4/5のlateral wedge、foraminal stenosis症例に対してXLIFを予定し、
右側臥位で造影CTを撮像しました。
001


ケージ設置自体はあまり大きな問題がなさそうです。

しかし少しでもコブが前方に入れば総腸骨静脈を損傷するかもしれないと思うと
やっぱりXLIFは躊躇されました。

術前評価の側臥位画像


最近では術前に腹部全体が認識できるCTあるいはMRIを
側臥位で撮像して評価することをよく耳にします。

わたしも現在はLLIF前には右側臥位でCTを撮像しています。

現在最も目にいくのは、腎周囲の臓器、つまり結腸だと思います。
・後腹膜腔が小さい、
・脂肪織が乏しい、
・腎周囲に結腸がある、
ようなケースではわたしのような小経験者ではLLIFは躊躇されます。

今回のようにコブの進入路に静脈が存在するケースも、また躊躇されます。
今回はOLIFアプローチならもしかしたら大丈夫なのかもしれません。

また研究会や出稽古などでエキスパートの先生に伺ってみようと思います。

本日のまとめ


LLIF手術はわたしの脊椎外科に革命をもたらしました。
今後も安全面を十分検討した上でLLIFを用いて治療していきたいです。

しかし今まで除圧でよかったものをわざわざ固定に適応することはagreeできません。

あくまで後方アプローチでの固定の適応にLLIFを組み合わせることで
これまで以上の良好な結果を得ることを目指すことが大切なことだと思っています。

後方アプローチの術前の評価をないがしろにするわけではありませんが
LLIF手技に基づく特有の評価のポイントがあることは事実です。

今回は総腸骨静脈の位置についてでした。

多くの先生にアドバイスいただいております。
感謝申し上げます!

★★★
MIStに関わろうとしている脊椎外科医へ。手技に関する待望のバイブルが完成です。