易出血性の転移性椎体腫瘍の生検の方法
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はじめに
腰背部痛は脊椎診療科を受診する一番多い症状です。
ときに原発巣不明の転移性椎体腫瘍を認めることがあります。
通常、CTや腫瘍マーカー、エコーなどで原発巣を判定できることが多いですが
どうしても生検を求められることがあります。
腫瘍の性質で生検の方法は異なる?
そんな椎体生検はどのようにしていますか?
土方の髄核鉗子のようなもので経皮的にパンチしてとるのがよいのでしょうか?
骨生検針でかじりとるのものでしょうか?
わたしは生検の方法は疑う腫瘍の性質にもよるのではないかと思っております。
症例提示
今回、既往にて腎細胞癌の転移を疑う症例がありました。
髄核鉗子で生検すると出血が心配です。
腫瘍は脊柱管内にも突出しているため、硬膜外血腫の恐れがあります。

医局で他科の先生方と生検についていろいろ相談したところ、
泌尿器科の前立腺生検用の針や腎生検などに用いる
BARD® MAX-CORE®
というものが使えそうだという結論になりました。

今回の生検の手順
出血が心配だったので患者さんに説明し対応できるよう全身麻酔を行ないました。
前立腺生検用のBARD® MAX-CORE®がJ probeの内腔をスムーズに通過しましたので、
J probeを椎弓根に刺入し、J probeを外筒として、針生検を行ないました。

あんまり組織がとれたような印象がなかったので
サイズの太い腎生検用のものを使用することといたしました。
ただ、これはサイズが太いため、J probeの内腔を通過しません。
しかしJ pobeにより下穴が作成されているために、
とくに難なく生検針を進めることができて生検することができました。
やっぱりJ probeは俊逸です。
「中空スクリューの下穴作成に、Jプローブが俊逸すぎた」
組織は腎細胞癌でした。
本日のまとめ
椎体生検用の針は、Cookの椎体生検針に代表されるように、
骨組織を相手にした破壊力のある骨生検針ばかりです。
今回の症例のように軟部組織様の腫瘍で、出血が懸念されるものは骨生検針では心配です。
かといって、髄核鉗子のようなもので切除することも不安です。
そんなときは、針生検用のものを用いるとよいのではないでしょうか?
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