特発性頸髄硬膜外血腫を早期に診断するポイント
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はじめに
勉強会をする機会がありましたので併せて記事に致します。
頸椎硬膜外血腫についてです。
頸髄硬膜外血腫は画像を示されれば、別段に診断に困るような疾患ではありません。
重要なことは「いかに早期診断ができるか」ということであることを強調させて頂きました。
脊椎疾患での数すくない救急疾患
特発性硬膜外血腫は、数すくない脊椎救急疾患の一つです。
所属する病院が救急診療をしていればいつか確実に遭遇します。
比較的まれな疾患であるため、
案外鑑別疾患の一つとして知られておらず、
脳卒中と診断されることもあります。
そこがこの疾患の一番のピットフォールだと思います。
頸椎硬膜外血腫の早期診断のポイント
いかに早期に診断を行うか。
もちろん頭蓋内病変を否定することが大事です。
Spine 41(7),E437-440,2016.
Worsening cervical epidural hematoma after tissue plasminogen activator administration for stroke like symptoms
において佐賀大学の森本先生がまとめておられました。
頸椎硬膜外血腫か脳卒中かの鑑別にあたって5つのポイントを挙げられております。
①まず頚部痛、背部痛が起こり、続いて神経脱落症状が生じる
②Lhermitte's signを認める
③顔面の運動麻痺の欠落、あるいは他の脳神経症状の欠落
④Horner症候群を認める
⑤Brown-Séquard syndromeに発展する
まさに運動麻痺だけで脳疾患と思ってしまいがちなところに警笛を鳴らしております。
もちろん椎骨脳底動脈解離なども鑑別すべき疾患です。
感覚障害の有無や顔面の症状、脳神経症状(複視、構音障害、嚥下障害、口蓋垂や舌の偏位など)をしっかり診察することが重要なことです。
こういう基本的な事って、簡単そうで普段の診療ではすっ飛ばしていたりするんですよね。。。
わたしも何度も痛い目にあっております。
脳卒中様の症状を起こすことがある疾患
同じく脳卒中様の症状を起こすことがある疾患としては
硬膜外血腫の他に
・硬膜外膿瘍
・転移性脊椎腫瘍
・脊髄梗塞
・脊髄炎
・脊髄腫瘍
・けいれん発作
・偏頭痛
・低血糖発作
・大動脈解離
などが挙げられます。
本日のまとめ
救急疾患は時間との戦いであることがほとんどです。
脳梗塞診療においても、tPAの投与に時間の縛りがあるため
なるべく効率的に動かないといけません。
救急疾患の初期診療ですべてを鑑別することは困難です。
そうとはいえども、早期診断には、どれだけ診察できるか、どれだけ鑑別疾患が浮かぶか、が重要だと思います。
う〜ん。偉そうなことは言えませんけども。
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