頭部でステープラー処置があったことはお願いだから、きちんと申し送ってね
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はじめに
場末の救急病院には、夜間や休日にも急患がひっきりなしに来院されるわけです。
このような救急病院に来られて脊椎脊髄外科が担当する急患は、
基本、外傷の患者さんであるので挫傷があれば時間外救急で創処置がすでに行われております。
頭部挫創でステープラーの処置があったことは
主治医にしっかり申し送ってほしいですよね。
という記事です。
術後のレントゲンをとるタイミングはいつ?
ちなみに皆さんは、術後のレントゲンは何日後くらいに撮像していますか?
わたしは
1. 術直後に手術室にて
2. 抜鈎が済んでいるであろう日数の後
の合計2回は必ず撮像するようにしております。
なんのためかというと、出来栄えを画像で評価すること、、、
もちろんそれも重要なことなのですが、
本心は、我が身の保守のため、というところもあります。
というのは、抜鈎しわすれたステープラーの存在やガーゼの置き忘れなどの異物迷入の心配があるからです。
創にまつわるステープラーやガーゼのいろいろな出来事
噂①
頸椎椎弓形成の手術の際の頭蓋固定用ヘッドピンの止血のためにとりつけたスキンステープラーが
そのままで放置されており、外来で問題になって民事訴訟に発展したとかしないとか・・・
噂②
慢性硬膜下血腫のときの閉創の際のスキンステープラーが1針残っており
やはり外来で問題になって民事訴訟に発展したとかしないとか・・・
実在した話①
ガーゼカウントの後に再度ガーゼを止血に用いて背部の筋膜下に留置。
その後なぜかガーゼカウントがおこなわれず。
翌日のXpで気付き、抜去
実在した話②
マーキングピンを留置したまま閉創。
翌日のXpで気づいて、抜去
実在した話③
ドレーピング固定に用いたスキンステープラーが、閉創時に創内に迷入。
術翌日のルーチンのXpで気付き、抜去。
、と、まあいろいろな事象が起こってしまうわけなのです。
トラブルにならないように心がけていること
ということで、心がけていることは、
①抜管前に手術室で、Xpで異物を確認する。
②術翌日にさらにCTでチェックする。
③ルーチンの創処置での抜鈎が終わっているはずの日程にあえてXpのフォローを入れる
④経過が長い人であれば退院前にもう一度Xpを撮像する
という三段構え、四段構えで対応しています。
ステープラーが写っているレントゲンを発見!!
ということで、今回、
頚部の抜鈎が済んでいるのにも関わらず、
ステープラーが残っているXp画像を発見しました!!
(術後の頸椎のCTでは気づけませんでした。
術直後のXpでは正中の創のステープラーもあり、これもまた、気づけませんでした。)

いったい、なぜ??
実は、頸椎を損傷した際の転倒で後頭部挫傷を受傷していたようです。
その際の救急外来での処置だったのです。
主治医&主科には申し送られておらず、後頭部に創があったことを知りませんでした。
頸椎手術で後頚部の創の包交を連日行っていたにも関わらず、
後頭部の挫創は、毛髪に隠れていて誰も気付きませんでした。
介助する看護師も知らなかったそうです。
しかし救急外来から病棟に入院したときは申し送られていたようです。
ギリギリでレントゲンに写っていて、なんとかセーフでしたが、、、
こういう伝達のミス、なんとかならんのですかね〜〜
足元すくわれそうで、ほんとに怖いです!!
☆☆☆
多くの合併症をどのように回避するか、の極意が満載です。
何度読んでも新しい発見があります。
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コメント
コメント一覧 (4)
コメントありがとうございます。医療機関、治療医と患者さんとの信頼関係は、話がまとまるかまとまらないかに大きな影響をおよぼしますよね。あと満足度もでしょうか。トラブルが起こったことを想定していなくとも、常に誠実に対応していくことが基本ですよね。糖尿さんの診療スタイルは模範であります。今後共よろしくお願い致します。
採骨部とは盲点でした。いくらガーゼカウントしてもどこかに抜け穴があるんですね。みなさんの経験を集めて何かに記しておかないとこのような事象は繰り返されてしまいますね。担当医の方が嫌気をさすのも当然です。このようなことって何ひとつ生産しませんよね。。。他人事とおもわず、わたし自身のこととして記憶しておきたいと思いました。ありがとうございました。
採骨部はレントゲン撮らないので要注意です。
どこかに医師患者のすれ違いや、臨床的な問題が起こっていれば相当怒られたでしょうね。明日は我が身、教訓になります!