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はじめに


単椎間でmyelopathyとradiculopathyの合併を考えるような症例は
基本的には前方アプローチで加療を行ないたいところです。

前回、甲状腺術後の症例に対して前方アプローチで行うことが非常に不安だったので
結果、後方アプローチで治療を行いました。
甲状腺術後の患者さんに対する頸椎前方手術の不安

甲状腺術後の頸椎について、どこかの会で前方アプローチの達人に聞いてみようと機会を伺っております。
とりあえず現時点では、自分の身の丈にあったプランだと思っております。

椎間孔拡大術の意義


椎間孔拡大術に否定的で、後方アプローチはあくまで椎弓形成による脊柱管拡大のみ、
という施設もありますが
わたしはradiculopathyを積極的に疑っている椎間孔狭窄病変があり、
症状と画像の整合性があるのならば椎間孔拡大術を行うべきと考えております。

基本的には前方アプローチになりますが、、、

とくに今回の症例のようにあえて前方を回避した場合には、
症状が残存すれば前方アプローチ追加、というオプションは本末転倒です。

ということで、顕微鏡下にC5/6/7の椎弓形成を行って、C6/7の椎間孔拡大術を行ないました。
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椎間孔拡大には片開き式椎弓形成が相性がよい


椎弓形成術には両開き式と片開き式の方法があります。

椎間孔拡大を行うとその部分の椎間関節の内側が掘削されるので
両開き式で行うと掘削側のhingeが半分程度になってしまうので
弱くなったhingeが骨折しておちこんで、結果再狭窄の原因になるのではないかと
危惧しています。

よってわたしは椎間孔拡大側をgutterにした片開き式椎弓形成を行います。

掘削した上位外側塊の頭側と下位外側塊の尾側に、
チタンプレートで挙上した椎弓を固定する

のがストレスの少ない方法だと思います。

そういえば、過去にそのようなことを記事にしたような、、、
、、、ありました。
foraminotomyを併せて行うことができるのが片開き式椎弓形成の利点

椎間孔拡大の手順


椎間孔拡大を安全に行うポイントは
椎弓根の内側を触知する
ことです。
やみくもに外側塊を掘削していくと、椎骨動脈に到達する危険があります。

片開きでgutterを作っておくと位置関係を把握し易いです。

1. 上位の下関節突起内側を掘削して椎間関節を露出
2. gutterごしに下位の椎弓外側塊移行部から外側塊の内側を掘削
3. すると下位の椎弓根の内側縁を触知できます。
4. あとは椎弓根にそって上縁、さらに外側へ椎間孔を追っかけていきます。

本日のまとめ


ときに過去記事を見直すと考え方が変わっていたりしてアップデートに迫られます。

椎間孔拡大についてはいまだに両開き式の椎弓形成に追加したことはありません。
かなり難易度が高そうなイメージがあります。

チタンプレートはメドトロニックのセンターピースを愛用します。
COIはありません(笑)

★★★
手術解剖学のバイブル。整形外科医の机には必ず置いてあるのではないでしょうか!?