ところでカフリークテストって?
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前回の記事の「やっぱり頸椎前方固定は怖い」
でカフリークテストというものについて補足したいと思います。
頸椎固定術とカフリークテストのくくりでは
後頭頸椎固定術後に気道閉塞をきたした2例のみヒットしました。
西田 幸司, 林 聖樹, 松下 亮介, 井上 博幸, 村上 祐司, 延藤 博朗, 望月 由
Journal of Spine Research (1884-7137)4巻1号 Page40-43(2013.01)
この論文は後頭骨頸椎固定術後の気道閉塞についてですが、
カフリークテストについてわかりやすく記載されております。
抜管時、気管チューブのカフエアーを抜いて気管からのエアリークの有無で
気道閉塞を判別する簡単なテストである。
FisherらはICUにおける挿管患者72人に対し、抜管可能であるか前向きにカフリークテストを施行。
リークのある62人は全員抜管後に問題はなかったが、リークのなかった10人では3人が再挿管となった。
この論文の結論として
後頭頸椎固定時にはとしております。
1)挿管時、エアウェイスコープや気管支ファイバースコープの使用により、
咽頭喉頭浮腫を予防する
2)0-C2固定角を決して屈曲位としない
3)術後抜管時にはカフリークテストをして、リークがなければ無理をせず挿管管理とする
気道の問題は脊椎外科医にとって非常にナーバスになるポイントであることは間違いないです。
ほか、
「人工呼吸器離脱に関する 3 学会合同プロトコル」パブリックコメント Q&A
というものがネット上に公開されていて、以下、抜粋です。
Q:
抜管後上気道狭窄の評価のため、カフリークテストはルーチンで行うのでしょうか。
A:
今回、作成した抜管手順では、抜管後の急変を事前に想定しておくことを強調しています。
特に緊急性の高い抜管後上気道狭窄については、多職種の医療従事者に共通認識を持 っていただくため、敢えて分割して記述しています。
そして、抜管後上気道狭窄による不 幸な医療事故を回避するためには何らかの評価を抜管前に実施すべきであると考えます。
抜管後上気道狭窄(=喉頭浮腫)の危険因子を検討した研究は、複数存在しています。
これらの研究では、挿管期間、ICU 滞在期間、女性、外傷患者、大口径気管チューブの使用などが挙げられています。
しかし、個々の危険因子と上気道狭窄発生との因果関係の程度は、研究により様々であり、どれが最も重要とは言えません。
大口径気管チューブに関しては、体格により一概に定義できる訳ではなく、相対的危険因子といえます。
「女性」と いう項目も、嗄声までを含めた上気道狭窄の発生率が統計学的に男性より女性に高いという結果に基づいています。
また、各施設の特徴によって追加した方がよい危険因子がある かもしれません。
例えば、頚椎前方固定術などは上気道狭窄のハイリスクであり、このように施設ごとで危険因子は追加して良いものと考えています。
ただし、抜管後気道狭窄を最初に評価することは、欠かすことのできない抜管過程の要素であり、実行することが望まれます。
カフリークテストは簡便に実施でき、一定の有用性が示されているために、本プロトコルでは評価方法として参考に提案し、<参考>に具体的な手法を示しました。
このカフリークテストは、現在、抜管後上気道狭窄の予測についてシステマチックレビュー可能な唯一の手法です。カフリークテスト陽性の場合、高い確率で抜管後上気道狭窄を 予測することが可能です 。
ただし、カフリークテスト陰性であっても抜管後上気道狭窄は否定することはできないので注意も必要です。
カフリークテストの目的は、抜管後上気道 狭窄の有無を見極めることであり、リスクの判別です。
より高度なリスクが疑われる場合には、カフリークテストだけでなく、ファイバースコープによる肉眼的評価など他の評価方法 も駆使してリスクを評価すべきと考えています。
したがって、カフリークテストは抜管の必須項目ではありません。
具体的な手法についての<参考>は、ネットで見つけることができませんでしたが、
・カフリークテスト、
・さらにハイリスクにはファイバースコープによる肉眼的評価
などの手法をとることが有用なようです。
麻酔科勤務医のお勉強日記のブログによれば
1.ベッドサイドでの大雑把な方法:カフのエアを抜いて、(気管チューブを塞いで、)手を口元に当てて呼気を感じる。(それって、残酷でない?)
2.吸気一回換気量と、気管チューブのカフを脱気した状態での呼気一回換気量の差を記録する。(6回の連続呼吸でいずれか3回の値の平均を取る)カフ・リークが110ml 未満なら抜管後喘鳴の可能性が高い。
3.気管チューブのカフを脱気する前の呼気一回換気量と脱気後の一回換気量の差を記録する。それを脱気前の呼気一回換気量で除する。それが「カフ・リーク%」である。カフ・リーク<10%の患者は喘鳴あるいは再挿管の危険性が高い。
などの3つの方法があるそうです。
兎にも角にも、
麻酔科の先生とは常に協調関係、信頼関係を構築しておくこと!!
が最重要事項ですね。
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
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