薬剤関連顎骨壊死について
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はじめに
骨粗鬆症加療の選択肢がますます増えております。
最近のわたしの周辺の変化としては、
リクラスト
を採用してもらったことでしょうか。
リクラストを使うときはどんなとき?(私見)
採用のときに、薬事委員会でプレゼンをするのですが、
質問対策に、
薬剤関連顎骨壊死の最近の動向
についてまとめました。
いや、雑感、ですかね(笑)
薬剤関連顎骨壊死の概念の移り変わり
まず、薬剤関連顎骨壊死という名称ですが
昨今の薬剤の新規登場により、
BRONJ(B: bisphosphonate ビスフォスフォネート製剤)
→
ARONJ(A: antiresorptive 骨吸収抑制剤)
→
MRONJ(M: medecation 薬剤)
と変わってきております。
RONJは、related osteonecrosis of the jaw、です。
ビスフォスフォネート製剤とは作用機序が異なる骨吸収抑制剤の登場があるからです。
すなわち、デノスマブやベバシズマブ、スニチニブなどによっても顎骨壊死が生じるため、
疾患の概念が拡大されてきているわけです。
骨吸収抑制剤の休薬がMRONJ予防に有用か?
2010年 BRONJは、
・BP注射剤で1〜2%
・BP経口剤で0.01~0.02%
と推定されておりました。
2016年ポジションペーパー改訂では算定されておりませんが、
骨粗鬆症の治療患者の数が増えて、顎骨壊死が増加していることは間違いないでしょう。
休薬するかどうかについてはなかなか一定の見解が得られないところです。
休薬することでMRONJの発症をはたして予防できるかどうか証明しづらいからです。
米国歯科医師会の有名な見解としては
「ARONJは最大0.1%程度の発生頻度と推定。
骨吸収抑制剤の休薬は顎骨壊死の発生リスクを減少させる可能性は少なく
むしろ休薬中の骨折のリスクを高める」
というものがあります。
よって休薬が推奨されるわけではなさそうです。
ただ顎骨壊死が発症しているときには休薬は有用なようです。
歯科医師との連携を図ろう!
2016年ポジションペーパーでは、
骨粗治療と歯科治療を並行しておこなうこともやむを得ない
ということになっています。
・薬物量依存性に顎骨壊死が増える
・抜歯などの侵襲的処置で起こる
「骨折も顎骨壊死もどちらも起こると不幸なことなので、
歯科医と医師の間で綿密にお互いのリスクを話し合って決めましょう」
ということになっています。
いずれ抜歯が必要になるならば早めに治療してもらうほうがよいですね。
その為にはリクラストなど長期に作用する骨吸収抑制剤を導入するときは、
抜歯の問診は必須であると思われます。
骨粗加療の連携パスに歯科との連携が入るように工夫したほうがよさそうです。
本日のまとめ
骨吸収抑制剤を用いる際に避けては通れない顎骨壊死の話。
患者さんを中心に、歯科医師と骨粗加療医(脊椎外科医が多いです)が連携を取り合って
個人の病状に照らしあって話し合いをする、そういう連携体制を作る
容易な解決策ではありませんが一番求められていることだと思います。
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