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はじめに


人口の高齢化とがん治療の成績向上により、癌サバイバーの症例が今後増加していくことは確実でしょう。

これはすなわち、癌を撲滅できなくとも仲良く共存していく期間が長くなっていくことを意味します。

有病期間が長くなってくると当然骨転移を来す機会も増えていくでしょう。

脊椎は骨転移部位の中ではおそらくもっとも患者さんを困らせる部位だと思います。

それは体動の都度、頑固な痛みを起こしたり、麻痺症状などの神経障害を起こしてしまうからです。

よってわたしたち脊椎外科医には疼痛緩和医療としての役割も求められていくことでしょう。

悪性椎体腫瘍に対する経皮的椎体形成術、PVP; percutaneous vertebral plastyの介入についてまとめたKobayashi先生の論文を報告します。

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悪性腫瘍の有痛性骨転移に対する経皮的椎体形成術の有用性の報告


前向き多施設共同研究。

これまで、痛みを伴う悪性腫瘍の椎体骨折に対するVPの有効性はretrospectiveな報告が多かったですが、この研究は前向き多施設共同研究です。

比較対象のないsingle-armですが、クライテリアが厳格にデザインされております。

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PVPは安全で有効、そして即時的な疼痛改善効果が得られる


PVPは悪性疾患の脊椎転移に対しても安全で有効、そして即時的な疼痛改善効果が得られる、
と結論されています。

そして本文の中で、著者らは即時的な効果を強調しています。

すなわち従来の放射線治療(3Gy×10回)で疼痛の軽減が得られるのに2〜4週間程度要することに対し、PVPでは中央値1日と、効果がすぐに現れています。

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疼痛再発も生じる


ただし、症例の21%において、治療部位における痛みの再発が認められています。

生存期間が長くなれば当然そのような事態が起こってきます。

PVPは抗腫瘍効果を発揮するものではないからです。

PVPの役割は腫瘍浸潤により損傷した椎骨を安定化させて痛みを和らげる、あくまでも姑息的な手術であるため、転移巣が拡大すれば痛みの再発は避けられません。

すべてにPVPが適応されるようになるわけではない


そして、骨転移すべてにPVPが適応されるようになるわけではありません。

化学療法の反応、放射線治療の反応、骨修飾薬の反応によってはPVPを行わずとも疼痛改善を得られることもあるでしょう。

本日のまとめ


個々の症例の応じて、チームによる集学的治療が望まれます。

脊椎外科医としてしっかり役割を果たしたいですね!!







★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。