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はじめに


脊椎患者もどんどん高齢化しております。

患者さん夫婦やご子息に
「認知症になっていませんか」
「認知症検査してくれませんか」
などと尋ねられる機会も多いのではないでしょうか?

神経内科にコンサルトするのが最も適切な答えなのでしょうが、毎回毎回単純に相談するのもどうなのかな、と感じたりもします。

今回、早期アルツハイマー型認知症の早期診断のツールとして
VSRAD(ブイエスラド)
というソフトをご紹介します。

アルツハイマー型認知症は早期診断が重要


アルツハイマー型認知症は、老年認知症の中で最も頻度の高いものです。

ご存知、アリセプトは、症状の改善が得られる、もしくは進行を遅らせてくれます。
よって、アルツハイマー型認知症を早期に診断することが重要であることは論を待ちません。

VSRADについて


VSRADは、アリセプトのエーザイ株式会社開発のようです。
「MRIを用いた、前駆期を含む早期アルツハイマー型認知症の診断を支援するためのソフト」
で、
Voxel-Based Specific Regional Analysis System For Alzheimer's Disease
の略語です。

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エーザイのHPより医療者用にリンクされたサイトへ案内されます。

アルツハイマー型認知症はもの忘れの進行とともに脳の萎縮、特に海馬という記憶に関する部分が萎縮します。
VSRADはこの萎縮の程度をみる検査というわけです。

本ソフトウェアに実装されている健常者データは54歳~86歳の80名を使用しています。VSRAD で表示されている脳は被験者のものではなく健常者データベースに基づいたものであり萎縮しているところを色の種類でその程度を表示しています。関心領域(ROI) が海馬傍回付近にあたり、その部位の色の種類を見れば海馬傍回の萎縮とその程度が分かります。


早期でも海馬傍回が萎縮することがわかっております。
VSRADでは、MRIでの海馬傍回の体積の萎縮度を正常脳と比較して、数値で評価するものです。

VSRADの効果


これまで早期アルツハイマー型認知症の診断は、医師の経験値により差が出たりすることがあったようで、なかなか難しいとされていました。
VSRADを用いると、前駆期を含む早期アルツハイマー型認知症において健常高齢者との比較では80%以上の識別率(正診率)となることが確認されているそうです。
萎縮度をZスコアで表し、この数値が2.0を超えると9割以上の確率でAD の疑いがあることがわかるそうです。

すごいとしか言いようがありません。

ただ、このソフトの結果から確定診断ができるわけではなく、あくまでも早期AD を診断する上での支援をする目的で使用してくれ、ということです。
まあ、わたしのようなものにはそこまでわかりませんが、、、。

本日のまとめ


アルツハイマー型認知症は、診断および治療は早期であればあるほどいいに決まってます。

患者さんから認知症の相談を受けたときは、
とりあえずMRIでVSRADを取っておいてから神経内科医にコンサルトすると、患者さんにも医師どうしも連携がスムーズにいくかもしれませんね。

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星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。