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はじめに


多発性骨髄腫の治療について調べていたら、
VertaPlex
というものを見つけました。

まったく知らなかったので、備忘録に、、、

これは、経皮的椎体形成術用のキットです。

なんと、ストライカーが扱っていました(!!)

トライタニウムユーザーなのに、まったく知らなかったですね。。。

そこでストライカーの担当の方に伺いましたところ、
インプラント担当では扱っていないようで、詳細はあまりよく知らないようでした。

VertaPlexの適応・手技


調べた限り、、、

適応は
「転移性骨腫瘍や骨髄腫などの悪性脊椎腫瘍による有痛性椎体骨折」
です。

BKPとの決定的な違いは、
「局所麻酔下でOK」
というところです。

骨セメントはPMMAで、硫酸バリウムを30%配合させることで透視下の視認性を確保しています。

粉末ポリマーに液体モノマーを混注してかき混ぜるのは同様です。

PCDという名前の専用の骨セメント充填用のカートリッジで注入していくのですけれども、器具を用いて圧入していくのは、あまり気分のいいものではないですね。
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過去に先進医療として骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術に携わったことがありますが、その時器具を用いての圧入でPMMA漏出が問題になるので、メダリオンシリンジにPMMAを充填し、アイスバスに入れておいて、わずかずつ用手的にそっと慎重に注入していたのを思い出しました。

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本邦における悪性椎体腫瘍に対する椎体形成術の位置づけ


骨転移診療ガイドラインやがん疼痛の薬物療法に関するガイドラインによれば、本邦における悪性椎体腫瘍に対する経皮的椎体形成術についてはエビデンスの蓄積に乏しく、推奨グレードが低いです。
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わたしはがんの転移に対してBKPを行ったことはありませんが、多発性骨髄腫の小経験では疼痛は著しく改善し、感謝されました。

本日のまとめ


BKPでは、「全身麻酔下に」、という制約があります。
全身状態や予後によっては、局所麻酔下にVertaPlexを用いて椎体形成術を行うことができると知りました。
姑息的治療として、転移性椎体腫瘍の痛みを緩和させるということは患者のQOLにとって決して悪いことではないと思います。

終末期に主治医となる機会はほぼありませんが、痛みに対するひとつの選択肢として終末期がん治療になにか貢献できるかもしれません。