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はじめに


脊椎固定術の成績向上に椎弓根スクリューは非常に大きな役割を果たしています。

しかし、骨質が悪い患者にはスクリューの効きはやっぱり、あまりよくなくて、ゆるみの原因となります。

骨癒合が得られるまえにスクリューが緩んでしまえば、手術成績不良の原因となってしまいます。

なんとか緩まないようにできないものでしょうか?
それとも骨質、すなわち患者側の要素としてゆるみを受け入れるしかないのでしょうか?

外科医の選択は言うまでもなく前者でしょう。

解決策のひとつとして、CTハンスフィールド値が重要になってくるだろうと思っています。



CTハンスフィールド値は任意の部位で測定できることが強み


CTハンスフィールド値は任意の部位で測定できることが最大の強みです。

つまり、いまここにスクリューを刺入したい、という場所の骨強度をチェックできるわけです。

やはりDEXAによる骨密度検査では、測定部位はあくまで腰椎や大腿骨であって、インプラントを挿入する部位ではないため、相対的な評価にならざるを得ません。
ほか、デメリットは先の記事の通りです。

CTハンスフィールド値は、現状では自分の関心領域を任意に選択して測定するという手順が主になりますが、きっと今後はCTソフトが改良されることで、
・CTを撮像した時点でCT値が測定される
・さらにコンピューターが、最適なもっとも硬いスクリュー刺入の軌道を示してくれるようになる
のではないかと期待しております。

まさにtailor-made instrumented surgery時代の幕開けですよね。

すでにCT値を取り入れて研究が行われています


Matsukawa先生らはまさにCT値を取り入れた研究をなされております。尊敬。
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多変量ロジスティック回帰分析により、局所ハンスフィールド値がスクリュー緩みに有意に影響する独立した危険因子であることが明らかになった、とのことです。

CT値の高い皮質骨にコンタクトするようなスクリュー軌道を選択するとなれば、おそらく従来の椎弓根スクリューの軌道ではなくCBT; cortical bone trajectoryになっていくように思えます。

CBTは難しい、しかし3Dプリンターの技術革新がすさまじい


ところが、CBTの難しいところは、皮質の硬いところを狙ってガイドを打っても、結局硬い皮質にガイドが蹴られて、結局椎弓根内の海綿骨方向に向かってしまうところです。

それが、3Dプリンターの技術の革新で、スクリューガイドのテンプレートを作成することができるようになっています。
狙った硬い軌道にしっかりドリルで下穴を作成し、スクリューを刺入する技術が確立されてきています。

メダクタのMy Spineというシステムです。
論文の著者のMatsukawa先生も開発の一員であられます。

このシステムであれば、CBTのコンセプトに沿ったスクリューが打てる、と感じました。

まだ使用したことがないので、機会あればぜひ使用したいと思っています。

本日のまとめ


CTを撮像した時点で、CT値が自動的に測定されるようになれば、その患者さんに至適なスクリュー軌道が自動で示されるようになる時代が到来するのではないか、と期待しています。

3Dテンプレートを用いることで、もはやスクリューの達人は不要になるかもしれません。

ただスクリューを打つのが手術の目的ではなく、しっかり骨癒合を得ることが大事なことは論じるまでもありません。

★★★
MIStに関わろうとしている脊椎外科医へ。手技に関する待望のバイブルが完成です。









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