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はじめに


未曾有の高齢化社会到来で、脊椎領域でも骨粗鬆症に対する手術症例が増加しております。

この10年くらいで、手術患者さんの平均年齢も10年くらい高齢化しているのではないでしょうか?

テリパラチド製剤のお陰で、骨粗鬆症症例に対する手術成績はかなり向上しました。
まさにブレイクスルーをもたらした薬剤と思います。

ただし、高額であるために病院経営論で問題になります。

今回のDPCの変更は脊椎の骨粗鬆症手術に対して大打撃でしたね、、、

今回の改定ではその他の手術から脊椎手術が独立


2016年の過去記事では、
朗報!
としました。

脊椎手術を行った症例に対して、PTH製剤使用あり群となし群の枝がついたためです。

このときの改正は、手術を行った症例に限って、PTH製剤を使用したものは、一群、二群の入院期間を延長することでテリパラチド製剤使用の分をなんとか賄えるものでした。
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よって、骨粗鬆症症例に対して積極的にテリパラチドを使用したと思います。




今回の改定では、「その他の手術」の解釈が問題になったのでしょうか。

新たに、
脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間または多椎弓の場合を含む)等
という診断群が加わり、
テリパラチドの使用あり群となし群は削除されました。
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テリパラチド導入は当たり前、ここからが締め付けの始まり


ということは、もう入院でテリパラチドを導入することは前提となった、ということでしょうね。

それから、これまで「その他の手術あり」には脊椎手術以外の手術が入っていたのかもしれませんね。

わたしはもうかれこれ10数年脊椎手術のみしか行っていないので、他の疾患のDPCのテクニックについては皆目検討がつきませんが、わざわざ脊椎固定あるいは除圧術を枝分けしたということは、高齢者の橈骨遠位端骨折などのテリパラチド使用に、脊椎XpとDEXAを測定しておいて、脊椎骨粗鬆症の診断を行い、そのDPCで橈骨や鎖骨の手術を行う、などのスキームがあったのかもしれません。

今回の改定で、「その他の手術」って何を指すのかなと疑問に思います。

とりあえず、前回の改定で、入院中にテリパラチド製剤を使う体制を整えたので、今回はそれから在院日数を減らす努力をしなさいよ、ということでしょう。

ただしテリパラチド製剤を使わないほうが、病院運営的にはよさそう、、、

在院日数をさらに減らして入退院を促進させましょう


脊椎手術に話を戻して、今回のDPC改定でシミュレーションしてみました。

経皮的椎体形成術を行った場合は
・旧 2488×13=32,344、1839×13=23,907で二群マックス入院26日で56,251点
・新 2510×10=25,100、1855×10=18,550で二群マックス入院20日で43,650点

旧の20日時点では45,217点なので、新の二群マックスでも減収-1567点です。

かなり厳しい戦いを強いられますね。

経皮的椎体形成術では一群の10日以内で退院を促進させないと二群になった11日目からすでに従来からは減収になっていきます。

脊椎固定術等では
・旧 2359×24=56,616、1743×24=41,832で二群マックス入院48日で98,448点
・新 2378×21=49,938、1758×21=36,912で二群マックス入院42日で86,850点

旧42日時点では87,990点なので、これも新の二群マックスでも減収です。

こちらも二群になった22日目から減収の始まりです。

一群の21日の間に転帰するように促進しないといけませんね。

本日のまとめ


在院日数が長引けば昨年より明らかに収益は落ちますね、、、

すくなくとも骨粗の手術は一群の間に退院、転院とならなければ病院はこれまでよりかなり減収になります。

医療費の節減のためには在院日数を減らせ、達成できれば昨年よりちょっと増収、達成できなければ経営には大打撃となっても文句言えない、ということです。

やっぱり診療報酬を国に握られている以上、制度が変わればすぐに病院経営、ひいては医師個人の給与に反映してきそうですね。

自分が老後を迎えるころには医療はどのようになっていくのでしょうか。

個人の資産の規模で、受けられる医療の範囲が変わっていくのでしょうね。

☆☆☆☆☆管理人はセミナーを受講し、金融リテラシーについて人生が変わったと言っても過言ではありません。経済的な自由を獲得された自由きままな整形外科医さんの投資家マインドが余すこと無く記載してあります。