ブーメランケージの後方逸脱について
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はじめに
把持角度が可変式になったブーメランケージが登場したことで、ケージの前方設置がしやすくなりました。
透視をみながら、より至適な位置、角度にコントロールしやすくなったのです。
この進化のおかげで、わたしにでもブーメランケージを比較的抵抗なく使用できるようになりました。
より前方に設置できるようになったことで、中間の位置にもうひとつブーメランケージを置く、というテクニックも教えていただき、実践して参りました。
この手技で、けっこう自信持っていたのですが、残念なことに、ケージがバックアウトする症例が発生しました。
そんな悩みを吐露いたします・・・
ブーメランケージのメリット
ブーメランケージのメリットは、硬膜嚢や神経根をほとんど牽引することなく、すき間からケージを入れることです。
しかし、ケージのグリップを緩めると、ケージの回転は「なるようにしかならない」ため、100点の前方設置が非常に難しいことが難点でした。
把持角度が可変型になって、その問題は概ね解決されました。
より前方に設置することができるようになったし、カンチレバーで角度も調整できるようになり、使い勝手が飛躍的に向上しました。
ブーメラン型ケージ設置に重要なこと
— 四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年8月24日
・きちんとrimにかかるように前方におけるか
手技的に難しいところですが、ケージの把持角度が可変式のものができて、よりコントロールしやすくなりました。
とても使いやすくなった!https://t.co/qAyyXXaTNA
ケージのバックアウト発生、その後の経過
そのため、バックアウトの心配なく、割に安心して使用してきました。
・・・ところが発生してしまいました。
これまで通り、前方と中間位置に2個ブーメランケージを入れました。
1ヶ月目のレントゲンで中間のケージが少し後方に移動していて、(まずいな)と思いました。
2ヶ月目では前方のケージもすこし中間に移動し、中間のケージは半分強が椎体外に出てきました。
先のメリットでも述べましたが、神経のすき間から挿入するため、バックアウトしても、そのすき間に戻ってきただけで、患者さんには症状は出現しませんでした。
癒合が得られるまでの間、椎体間固定に不安が残るので入れ替えをお願いしたのですが、患者さん自身には症状がないため、同意が得られず慎重にフォロー、ということになりました。
結局ケージはそのまま動かず、スクリューゆるみなく、ケージの半分が飛び出したまま、術後1年で椎体間は癒合、という結果になりました。
ブーメランケージを2個使用していたので事なきを得たのか、むしろ1個だったら大丈夫だったのか。
しかし1個で移動してしまったら癒合不全は避けられなかっただろうし、、、
何が答えかわかりません。
バックアウトの対策
もともとケージのバックアウトは問題として挙げられております。
そもそもブーメラン型だけがバックアウトするわけではなく、通常のボックス型ケージであってもバックアウトすることは報告されます。
しかし、ブーメランケージだとその頻度がどうやら高いことは、多くの術者が肌感覚で実感しているようです。
圓尾先生のご報告では、術後3か月以内に42%(11/26椎間)のブーメランケージに回旋移動を認めています。
ケージをなるべく前方に位置するように設置することが、ケージ回旋対策と述べられており、わたしもそのように思います。
他にも、ブーメランケージ使用に注意すべき特徴として、
・すべりが残存
・椎体終板の陥凹が大きい
を挙げておられます。
確かに!!
挿入がコントローラブルになったことだけで解消される問題ではないようです。。。
本日のまとめ
ブーメランケージはメリットも大きいです。
とくに、他院のラミネク術後の神経孔狭窄による神経根症、のような症例には、LIFももちろんよい適応ですが、ブーメランケージを用いたTLIFも非常によい適応だと考えます。
バックアウトの問題で、この手技を諦めるわけにはいかないです。
すべりの状況や椎体終板の凹みの形などもしっかり考慮しながら、ブーメランケージの可能性を探っていこうと思います。
前方逸脱についても経験あります。。。
下記記事ご参考ください。
PLIFケージの前方逸脱。原因と対策について。そして、腹側に逸脱してしまったケージはその後、どうするのか??https://t.co/OFLOsJdNIU
— 四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年8月24日
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