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はじめに


脊椎診療を専門にしていて、絞扼性末梢神経障害の診断は必須です。
・・・なんて言いながら、このていらく。。。

外側大腿皮神経障害を診断できませんでしたね、、、

神経内科の先生に相談したら、ひとこと、
「meralgia parestheticaではありませんかね?」

すみません、鑑別できてませんでした、、、

こんな症例でした


30台の男性です。
他院から何も異常がないと言われたけど、やっぱり感覚がおかしいということでわたしの外来を受診されました。
5〜6ヶ月症状が良い悪い繰り返しつつ持続しているそうです。
生活できないわけではないけど、不快というか、やっぱり気になる、というのが受診動機でした。

ここら辺りです、と左大腿の外側付近をさすっています。
筋力の低下はありませんし、FNSではいうほど痛がりませんし、腱反射は左右差なくhypoでした。

まあ、上位腰椎の外側ヘルニアの見逃しでもあったらストーリーとしては成り立つかもね、、、

ところが、若年で腰椎MRIでもまったくもってきれいです。
外側病変はもちろんありません。

末梢神経障害っぽいけど、それでいいのかな?
神経内科の先生にも相談してみよう。。。

という流れでした。

完全に鑑別疾患から除けてましたね、、、

記事にしているいまでも、顔から火が出る。。。

絞扼性神経障害


とりあえず、診断しておきたい絞扼性末梢神経障害を順に並べると、こんな感じでしょうか。

・手根管症候群
・肘部管症候群
・後骨間神経麻痺
・腓骨神経麻痺
・梨状筋症候群
・外側大腿皮神経障害
・足根管症候群
・胸郭出口症候群

足根管や胸郭出口も難しいんですよね、、、
あと、上臀皮神経障害もあるかもしれない。。。

末梢神経障害は奥が深いです。

しかし、脊椎診療をおこなっていて避けるわけにはいかないのに、、、

あ〜、ほんと恥ずかしい。

反省を込めて。。。まとめましょうぞ。

外側大腿皮神経障害(知覚異常性大腿神経痛:Meralgia Paresthetica)について


外側大腿皮神経障害(知覚異常性大腿神経痛:Meralgia Paresthetica)
1878年?1895年?BernhardtおよびRothにより報告(もちろん原文などは読んでおりませぬ)

大腿前外側に痛み・灼熱感や痺れといった異常感覚を呈する。

原因としては、
・なんらかの軽微な外傷後である
・端座位保持あるいは不良姿勢などでの大腰筋の過緊張
・縫工筋の筋膜の絞扼によるもの
・鼠径靭帯での絞扼によるもの
・神経の走行異常に起因して、腸骨稜で圧迫されるもの
・腹部、骨盤手術後
などと言われる。

幅広のベルトや女性のタイトスカートによるエピソードも可能性あり。

診断としては、鼠径靱帯上のTinel signあるいは圧痛の存在が診断の手がかりになります。

まったく鑑別にあげていなかったので、この理学所見はとっていないんですよね。

SNAP、伝導速度分布、最小伝導速度、神経ブロック、心因性要素を検討しながら診断していく必要がある、と古い文献には記載してありました。

外側大腿皮神経の解剖


・外側大腿皮神経は第2、3腰椎神経根から起こる
・大腰筋・腸腰筋筋の表面を斜め外側下方に走行する
・上前腸骨棘の内側直下で鼠径靭帯の下部を通る
・大腿筋膜を貫いて大腿外側の皮膚に分布する
スクリーンショット 2018-07-17 20.25.12


鼠径靭帯と縫工筋の間を走行しているといっても、実際に手術に入ったことないので、解剖のイメージがよくつかめません。

わたしたちは、腸骨採骨の際に外側大腿皮神経を障害しないよう、上前腸骨棘からだいたい2横指くらい離すよう指導されたものです。

本日のまとめ


外来診療で大切なことは、もちろん診断をつけること、に尽きます。
いえ、あなたの症状は脊椎由来ではありませんね
の一歩前に進んだ外来診療を行わなければ、、、

努力しなければなりませんね。

以前、えらそうにこんな記事書いてますね。。。







反省しなければ、反省しなければ。。。

もっと緊張感をもって診療に当たらねば。。。