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はじめに


以前、腰痛が主症状であるASOを経験したことを記事にいたしました。

間欠性の腰痛がメインで、大変驚いた次第です。

そのときの学びは
「ABIは重要」
「CTは血管の石灰化病変や動脈瘤などないか日頃から見るクセをつけること」
ということでした。




CTを撮像することが多くなったかな


この一件を経験してからは、わたしは、初診では診察のあと、腰椎動態レントゲンに加えて、CTを取ることが多くなりました。

そして、今回は右下肢痛が主訴です。

歩行で増悪していたのが最近では通常の立位でも疼痛が増悪するそうです。

高血圧と糖尿病で20年間の治療歴があります。

CTを撮像するとL4/5の右椎間関節に強いOAがある変性すべりで、椎間孔狭窄と脊柱管狭窄を認めます。
前屈ですべりが軽度増悪します。

右下肢痛の主座と思われましたが、腹部血管の石灰化がとても多い印象でした。
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そこで、ABIを取ると、な、なんと、左に低下を認めるではありませんか!

検査のあとから尋ねると、左下腿につっぱり感、階段のぼるときに感じやすい、という症状もありました。

ということで、左下腿は症状はごく軽度ですが、、、というお断りを入れて血管外科に紹介したところ、浅大腿動脈に高度狭窄を認めました。

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抗血栓薬を3ヵ月程度内服し、症状経過みてPTAを行うかどうか判定、と記載されておりました。

本日のまとめ


閉塞性動脈硬化症の初期症状と腰部脊柱管狭窄症による馬尾性間欠性跛行は、症状がよく似ていて単純に鑑別しにくいです。

まして、この症例のように、主訴の反対側の浅大腿動脈高度狭窄で、症状もごく軽度、、、
とても診察レベルでチェックできません。

やはりABIを行うことには意義があるのではないかと感じてしまいます。

とくに糖尿病や高血圧に長期罹患しているケース、CTで腹部血管などに石灰化が目立つケースにはABIは重要な検査だと思いました。

当科から血管外科へのコンサルトはまあまああるのですが、逆がほとんどないのが寂しいところです。。。

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