慢性疼痛のアプローチは画像ではなく、患者さんのADL
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慢性疼痛の治療は困難を極めると感じるのはわたしだけではないと思います。理由は、複数の要素の関連です。
腰痛を例えると
・椎間関節や筋筋膜、椎間板などの解剖学的な要素
・椎体骨折や骨粗鬆症、後側弯などの変形
・神経根や馬尾などの疼痛発生部位神経
・動脈硬化による血流障害
など複数の要素が考えられます。
そして、これらに
臥位、座位、立位の姿勢変化があったり、前屈、側屈、後屈などの動作が加わり、、、
職業によって個々でまったく異なる動作が加わり、、、
最終的には心理社会的要素まで加わってくるため、正直、手に負えない、と治療を諦めてしまうこともあるかもしれません。
MRI診断時代となり、「MRIで病変を描出されなければ、すなわち異常なし」、との風潮があります。
慢性疼痛ではMRIで診断、というアプローチは決して正解ではないと思います。
腰痛に関しては、山口大学のグループが8割は診断できる可能性があることを論文にされております。
この論文は、わたしの診療に衝撃を与えました。
最近では、こちらの図も衝撃でした。


この図は、脊椎脊髄疾患と診断されたVAS3点以上の慢性疼痛を有する1,857名に対して、疼痛の責任部位と出現部位との関係を図示したものです。
慢性疼痛になると、責任病変が頚椎だろうが、胸椎だろうが、腰椎だろうが、ほぼ全身ではありませんか!!
もちろん、頚椎では上肢メイン、胸椎では背部から臀部メイン、腰椎では下肢メインというものはありますが、、、
慢性疼痛のなかにも神経障害性疼痛の要素が多分にあるため、Pain DETECTなどを用いて、適切な薬物療法について再考すべきだと思いました。
MRI診断時代となり、MRIで診断できないあるいは説明できない疼痛は、不定愁訴の扱いになりがちですが、この論文からも、そのようなアプローチは正解ではないことがわかります。
大事なことは、患者さんのADLやQOL評価から疼痛にアプローチしていくことですね。
わたしは最近はRoland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)を渡して、患者さんがどの動作を不得意としているのか、一緒に考えるようにしています。
それが功を奏すかどうかはまだわかりませんが、、、
慢性疼痛のアプローチは本当に難しいです。
しかし、世の多くの患者さんが困っているのは、この病態だと感じます。
医者離れしてしまうのは適切にアプローチできないからだと思います。
疼痛のない世界に連れて行ってあげることはできませんが、生活の質を保てるアプローチを目指したいと思いました。
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
@yotsuba_spineさんをフォロー

慢性疼痛ではMRIで診断、というアプローチは決して正解ではないと思います。
腰痛に関しては、山口大学のグループが8割は診断できる可能性があることを論文にされております。
腰痛診療をしていると、非器質性腰痛が80%なんて言ってしまいがちですが、、、診療の熱意によるのではないでしょうか。https://t.co/ueWEi9drDq
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年1月29日
この論文は、わたしの診療に衝撃を与えました。
最近では、こちらの図も衝撃でした。


この図は、脊椎脊髄疾患と診断されたVAS3点以上の慢性疼痛を有する1,857名に対して、疼痛の責任部位と出現部位との関係を図示したものです。
慢性疼痛になると、責任病変が頚椎だろうが、胸椎だろうが、腰椎だろうが、ほぼ全身ではありませんか!!
もちろん、頚椎では上肢メイン、胸椎では背部から臀部メイン、腰椎では下肢メインというものはありますが、、、
慢性疼痛のなかにも神経障害性疼痛の要素が多分にあるため、Pain DETECTなどを用いて、適切な薬物療法について再考すべきだと思いました。
MRI診断時代となり、MRIで診断できないあるいは説明できない疼痛は、不定愁訴の扱いになりがちですが、この論文からも、そのようなアプローチは正解ではないことがわかります。
大事なことは、患者さんのADLやQOL評価から疼痛にアプローチしていくことですね。
わたしは最近はRoland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)を渡して、患者さんがどの動作を不得意としているのか、一緒に考えるようにしています。
それが功を奏すかどうかはまだわかりませんが、、、
本日のまとめ
慢性疼痛のアプローチは本当に難しいです。
しかし、世の多くの患者さんが困っているのは、この病態だと感じます。
医者離れしてしまうのは適切にアプローチできないからだと思います。
疼痛のない世界に連れて行ってあげることはできませんが、生活の質を保てるアプローチを目指したいと思いました。
腰痛診療の中では、このような格言があります。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年9月11日
レッドフラッグを見逃すな!
高齢、というだけでレッドフラッグに引っかかってしまうのですが、
複数項目にまたがる場合は、レントゲンのみでなくCTあるいはMRIまで撮像しておいて間違いはない、と思います。https://t.co/T33pZkdD7f
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
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