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はじめに


脊椎手術、ことにinstrumentationでの感染は、大きな大きな問題です。
患者さん含め、関わるスタッフすべてに多大なストレス。

学会で、常に感染に対する予防策や治療方法が論じられているのもうなずけます。

ひとつの策として、バンコマイシンパウダーの術中散布というものがあります。

感染の治療として、あるいは感染予防対策として使用します。



バンコマイシンアレルギーの問題


今回参加したJPSTSS学会のポスターに非常に興味深い発表がありました。

「成人脊柱変形術後の再矯正手術においてバンコマイシンによるアナフィラキシーショックとなった1例」


関東労災整形外科の國谷嵩先生のご演題です。

結論を申しますと、
・バンコマイシン点滴は即中止可能
・創内散布は原因物質が除去できず、暴露され続けるので危険
・よって、バンコマイシン創内散布をやむをえず使用するときは、皮膚テスト(プリックテスト・皮内テスト)等を行ってから使用すべきである

抗菌薬によるアナフィラキシーショックは頻度は低いものの、当然起こり得る合併症です。
もちろん、バンコマイシンも原因抗菌薬として挙げられております。

症例はアナフィラキシーショックにより、術中いったんは心停止にまで陥ったそうです。
点滴中のものだったので、すぐに中止できたが、創内散布して閉創中であったら、どうなっていたか、、、

本日のまとめ


主治医としては、感染した場合でも、インプラント抜去はなんとしてでも避けたいというのが気持ちだと思います。

抜去すれば、即脊柱は支持性を失います。

よって、なんとしても感染を予防したいです。
感染を予防できるなら、なんだってやっておきたい気持ちになります。

気は心。

エビデンスがないっていわれても、なんだって考えられる良いと思ったことはやっておきたいんです。

ガイドラインでは抗MRSA薬の術野散布は推奨されておりません。
しかしやっぱり、賛否両論あるようです。

散布に用いるならば、アレルギー反応の有無を確かめてから用いることがとても重要だと学びました。