改良センターピース、改良ならではの注意点
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はじめに
頚椎症性脊髄症の基本手術である、椎弓形成術。
わたしはお師匠さんの影響で、片開き法を好んで用います。
・両側のhingeとgutterを削るだけで、中央を削る手間が不要
・支点が三角形となって、安定が得られやすい
といったメリットがあります。
ただし、スペーサーの外側塊側の締結が一番の難点です。
糸を用いるのであれば、外側塊に糸を通すことはけっこう至難の業なのです。
スクリュー固定型のスペーサー、センターピース(メドトロニック)
なので最近はハイドロキシアパタイトのスペーサーよりも、メドトロニックのセンターピースを用いることが多いです。
しっかりした固定が得られて、これまでスペーサーの移動やhingeの落ち込みなどのトラブルに見舞われずにすんでいます。
しかし、このセンターピース、使用当初からメーカーにずっとずっと言い続けてきた使いにくいところがふたつあります。
それは、、、
①スクリューヘッドが小さすぎる。
ドライバーに対して、ヘッドのネジ穴が小さすぎます。
なので、ドライバーの噛み込みがとても弱く、スクリューがすぐに外れます。
挿入途中でぽろりと外れると、設置が難しい。
すべってあわや頚髄を押してしまいそうで怖い。
こんなストレスを術者に感じさせないように改良してもらいたい。
②把持器が弱すぎ&でかすぎ。
スペーサーの把持器が弱すぎます。
椎弓の挙上時にスペーサーにストレスがかかると把持器から容易に外れます。
これも相手が頚髄だけに、あわや大惨事になりかねます。
そのため、hingeをかな〜りゆるくしないといけません。
わざわざ道具の特徴に合わせるように手術を修正しないといけないのです。
おまけにでっかいので、小切開では術野のかなりの妨げになります。
こんなストレスを術者に感じさせないように改良してもらいたい。
満を持して?改良された
ということで、メーカーの方から、
「センターピース、満を持して改良されましたよ!」
と案内されました。
何で満を持したのかはわかりませんが、スクリューヘッドが1mm大きくなりました。

1mmがバルキーに感じるかといえば、そんなことはまったくありません。
しっかりネジ穴がドライバーにかみこんで、これまでの手渡し&挿入時の、スクリュー外れの問題がまったくなくなったように感じました。
「おお、これならいいですね〜!」
となりましたが、今度は新たな注意点が発生しました。
スクリュー刺入後のドライバーを外すときですね。
逆に今までのようにスッと外れませんので、チカラを入れて抜くと、スクリューも一緒にぶっこぬけるんです。
すでに2回、レスキュースクリューに登場いただきました(汗)
2回めのときは最後のlateral mass2本目だったので、再利用も叶いませんでした(涙)
メーカーの方に案内されると思いますが、頭尾側、あるいは左右に首を振って、愛護的に外しましょう。
従来のセンターピースに慣れてしまっている方は、おそらく、このスクリューぶっこ抜きを経験されるのではないでしょうか。

改善も新たな問題のきっかけに?
改善もまた新たな問題発生のきっかけになるんですね、、、
そんなこと言っては身も蓋もありませんが。
ただ、そうはいっても、今回の改良で、センターピース、とても使いやすくなったことが大前提の話です。
あとは把持器の問題でしょうか。
hingeの硬さには術者の好みもあるでしょうし、ゆるく作成するほど椎弓形成は容易なので、把持器は改善してもらえなさそうと思っています。
本日のまとめ
センターピースのヘッドが改良されました。
1mm大きくなったことで、これまでドライバーとスクリューの噛み込みが超超超不安定だったのが、ぐっと安定化され、かなり使用しやすくなりました。
逆に、ドライバーを外すときには、愛護的に外すようにしましょう。
でないとスクリューがぶっこぬけます!
90歳の男性に頚椎椎弓形成手術を行う機会を得ました。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年11月30日
外側塊が硬化していて、糸での締結よりチタンプレートでの固定の方が安心感がありました。https://t.co/2I87Z5qQtl
わたしは頚椎椎弓形成術は、片開き式で行っています。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月11日
今度Globus/αテックの新製品であるキャノピーを使用してみようと思い、どのようなシステムなのか予習したので印象をまとめておきます。
当日慌てないように、、、https://t.co/lekOG1X5Zz
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