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はじめに


頚椎後方固定術でどうしても極めたい手技があります。

それは頚椎の椎弓根スクリュー刺入です。

厳格に症例を選定して、決して無理をしない、術前の綿密な計画をたてることが最重要事項です。。。

・・・などと格好つけたって、自分自身もmalpositionがゼロというわけではありません。

だからこそ、アンテナを張って、頚椎椎弓根スクリュー刺入の手技について、学んでおります。

European Spine Journal 2018年27号に、素晴らしい論文が掲載されています。

とても勉強になりますのでご紹介致します。

論文紹介


A novel technique of cervical pedicle screw placement with a pilot screw under the guidance of intraoperative 3D imaging from C‐arm cone‐beam CT without navigation for safe and accurate insertion
European Spine Journal (2018) 27:2754–2762

北海道大学Takahata Masahiko先生著

・鐙先生のFunnel-like hole creation technique
・種市先生のHalf tapping assessment法
・須田先生のS point
などのテクニックと現在の技術の融合という印象でした。

椎弓根に達する前に


椎弓根に達するためには、ストライクゾーンが近くて大きいほどよいです。

これがFunnel-like holeテクニックのコンセプトです。

Takahata CPS.001


まず、3mm径のダイアモンドで刺入点を作成し、チタン製のカスタムメイドのマーカースクリューを入れて、ここで一度cone-beam CTを回します。

このスクリューのカスタムメイドの特徴は
3mm径の10mm長の中腔スクリュー
であることです。

これまでの北大の先行研究から椎骨動脈までの安全臨界として、10mm長としたそうです。

中腔構造になっており、ボールチップブローブが通過するようになっています。

①椎弓根に達するその前に設置
②CT画像で確認
③軌道にずれがあれば、適切な方向に修正をかけて、プロービング
④同様にカスタムメイドのボールチップブローブが通過するカニュレイテッドのタッピングドリルで下穴を形成
⑤椎弓根スクリュー設置。

そして最後にもう一度cone-beam CTを撮像して、確認して終了です。

Takahata CPS.002


すさまじく正確


この方法で、166本のスクリューの逸脱率はなんと、わずか2.4%です。

しかも、根尾先生の分類で、Grade 2以上のずれはゼロです。

しかもしかもこの検討は連続症例で、さらに症例には退行変性のみならず、RAや先天奇形、腫瘍のようなものも入っています。

いかにすさまじく正確なのかがわかります。

実は、一回目のCTで43%にスクリュー軌道の修正を要した、とあります。

やはり術中画像の正確な情報は素晴らしいですね。

本日のまとめ


とても勉強になりました。
今ある施設の状況でいかに手術のリスクを低減していくか、、、

O-armナビはもちろん、欲しいところですが、ないものねだりしても始まりません。

わたしもこの手順を参考に、安全性を高めていく努力をしていきたいと思います。

カスタムメイドのマーカースクリュー、プローブ、タップドリルなどが市販されるようになればよいですね。