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はじめに


わたしはMISt手技者で、手術は極力、低侵襲法でできないかどうかを考えます。

治療にまだ答えがないのが脊椎診療の醍醐味でもあります。

胸腰椎破裂骨折に関してもよく話題になります。

・神経症状の有無
・椎体の圧潰・後弯の程度
・不安定性の程度
・骨質
・手術の侵襲
・年齢
・全身状態
・治療のゴール

など多くの要素を熟考しながら個々の症例、個々の術者、個々の施設で決定されるのが現状です。

Dick法が通じない??


最近、Dick法が共通語として、通じないのかな??という疑問を持ちました。

たしかに、かくいうわたしも原本を読んだことはないんですよね。。。
自分の持ち得るつたないネットワークでは原文を渉猟できませんでした(汗)。

The "fixateur interne" as a versatile implant for spine surgery.
Dick. W: Spine (Phila Pa 1976). 1987;12(9):882-900.


が原本です。きっと。

AO脊椎外科マニュアルで読んだのかなあ、、、、


それとも、Schanz screwの手技書だったかなあ、、、

後進のために、Dick法についてまとめておきます。

破裂骨折の椎体整復手技、Dick法


まずSchanz screwです。

Depuy/SynthesのUSS fracture systemですね。
シャンツ.001


①展開・スクリュー刺入
創を展開して、Schanz screwを刺入します。
長い槍のような形状のmono-axial screwです。
シャンツ.002


②ロッドの設置
ややbulkyなんですが、ロッドを刺入します。
ロッドを刺入している時点ですでに伸延力がある程度加わります。
シャンツ.003


こんな具合です。
シャンツ.004


③椎体の伸延
ロッドにグリップをとりつけてdistraction forceを加えることで、椎体高の復元を得ます。
シャンツ.005


④後弯矯正・前弯形成
グリップでスクリューがもとに戻らないようにしつつ、柄を力強く握って前弯形成を行います。
シャンツ.006


ねじ切って終了。

1987年の報告って、もう、30年にもなるんですか!?

すごいことですね。
確かに共通語になりにくい現状があるのかもしれません。

MIStに応用


ということで、これをMIStに応用したいわけです。

ロッドがbulkyなので、既存のUSS fracture systemを経皮的に行うことは、まあ困難ですね。

相当の神業です。

ですので新しいシステムが必要になるわけです。

例えば、
・MedtronicのSagittal ajusting screwを用いたTrauma Instrument Set
・Depuy/SynthesのVERSE
・Globus/αテックのILLICO SEのヘッドロック機構
などがいけてます。

機会あれば、まとめますね。

本日のまとめ


Dick法についてまとめました。

デバイスの発展によりさらなる低侵襲化が望まれます。

その時の基本となった手技について掘り下げて勉強するのも楽しいかと思います。
(原文よんでませんけど)