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はじめに


場末の施設で診療していると、紹介はほとんど参りません。

初療から診察→保存加療→必要あれば手術加療

をひたすら繰り返す毎日です。

こんな腰背部痛を経験して、とてもびっくりした次第なので、報告します。

症例提示


30台の男性です。

主訴は腰痛、背部痛。

初診にはエーザイさんの「痛み・しびれ記入シート」を使用しています。

こんな痛みがあって、VASでは、なんと10!!ということでした。
ギランバレー症候群.001





30台男性で、これは嘘だろ〜!!

・・・と、うがった目で見ると、痛い目に合うのはこれまでも何度も経験あります。

なので、「真摯に診察するぞ」、と心に語りかけて、診察室に呼び入れました。

すると、車椅子ではありませんか!?

しかもかなりつらそうです。

これは急性腰痛症、いわゆるぎっくり腰では合点がいかないぞ、そしてやばそうだぞ、と思いました。

病歴


数日前から腰痛、徐々に悪化し、背部、頚部まで広がってきた。
いまは痛くて首も腰も曲げられない。
この2日間くらいで手足の力も思うように入らない。

「力が入らないんですか??」

「はい」

実際ににぎってもらったら握力も僅かです。

「これではペットボトルも開けられないですね」

「はい、おまけに腕が上がらないんです、、、」

え〜??

たしかに両腕ともなんとかやっと挙上できるレベルです。

足も車椅子に座った状態で太ももがやっと上がるくらいです。

明らかにぎっくり腰とは違います。

頭部から全脊椎の検査をしつつ、すぐに神経内科にコンサルトしますね。

診断


診断:ギランバレー症候群

全深部腱反射消失。
髄液蛋白細胞解離あり。

初めての経験でびっくりしました。

こんなにも激しい腰痛、背部痛が初期におこることがあるのですね。

診断ガイドラインより


日本神経治療学会
にガイドラインがありました。

ギランバレー症候群ガイドライン

ここに疼痛についての記載がありました。抜粋します。

疼痛に対する管理
GBSは、しばしば疼痛が問題となる。
発症初期に大腿部、臀部、腰背部などに激痛を訴えることがある。
非麻薬性鎮痛剤を用いて対処するが、改善されない場合は麻薬系鎮痛剤を用いてコントロールを図る。


と、ばっちり記載されている、、、、

本日のまとめ


やっぱり先入観でうがった目をもって初診にあたってはいけませんね。

よもやギランバレー症候群でこんなにも腰背部を痛がるとは思ってもいませんでした。

患者さんから学ばせていただいている気持ちを忘れずに診療を行いましょう。

そして、このような腰背部痛があることを共有しておきたいと思い、記事にいたしました。