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とぜん.001

はじめに


2018年12月7日の記事ですけれども、
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は3日、アステラス・アムジェン・バイオファーマの骨粗鬆症治療薬「イベニティ皮下注」(一般名:ロモソズマブ)など7品目の承認と一部変更承認を審議し、了承した。塩野義製薬の注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬「ビバンセカプセル」(一般名:リスデキサンフェタミンメシル酸塩)については、覚醒剤の原料に指定され、特別な流通管理を行う必要があることから、今回の部会では流通管理策案を了承した。パブリックコメントを募った上で、来年1月以降の部会で承認の可否を審議する予定。

ロモソズマブが承認されてくるようです。

発売元はアステラス・アムジェン・バイオファーマ。
どのような取扱いになるのか、次の決定に興味惹かれるところです。

ロモソズマブは、今後の骨粗鬆症治療薬にとって黒船になるのでしょうか。

骨粗鬆症治療薬ロモソズマブとは


骨粗鬆症治療薬ロモソズマブ
骨細胞で産生され、骨形成を抑制するスクレロスチンに対するヒト化モノクローナル抗体薬です。

この薬の注目は、なんといっても、
・骨形成促進
・骨吸収抑制
の両軸を兼ね揃えているところ
です。

従来は骨形成促進薬と骨吸収抑制薬は作用の違いから併用できませんでした。

それが、一つの薬剤で両方を兼ねると言ったら、理屈だけでいえば、骨粗鬆症にとって、まさに無敵の作用ではないでしょうか。

その骨折予防効果は?


担当MRからFRAME試験というものを案内いただきました。

対象:大腿骨近位部または頚部のTスコアが-2.5から-3.5の間の閉経後女性、7180例
介入方法:ロモソズマブ(210mg)を月に1回皮下注射、12ヶ月
比較対象:ロモソズマブ群とプラセボ群
割付け:ランダム
主要評価項目:12ヶ月後、24ヶ月後の新規椎体骨折の発生率
副次評価項目:臨床骨折(非椎体骨折および症候性骨折)、非椎体骨折の発生率
※12ヶ月後は両群にデノスマブ60mgを6ヶ月に1回投与
全期間中、全例カルシウム&ビタミンD投与

で、この対象群、日本人の症例が492例含まれているそうです。

ここを日本でサブ解析しているのですね。
結果、日本人でも、主要評価項目、副次評価項目で50%ちかくリスク低下しておりました。

もともと販売が延期していたのは、ロモソズマブ投与群とアレンドロン酸投与群で重篤な心血管イベント発生率がロモソズマブに高い結果が出てしまったからと理解しています。

今回の結果では心血管有害事象に関しては、プラセボ群とは差はなかったようでした。
・非定型大腿骨骨折は発生なし。
・そして、顎骨壊死は1例(デノスマブ投与後)。

文句なしに期待大です。

今後の取扱いで気になるところ


ロモソズマブの取扱が今後どうなるのか、わたし個人の感想で気になるところといえば、

①12ヶ月投与終了後、骨吸収抑制剤にスイッチしたあとに、再度、用いることができるのか?
もし、ある期間をおいて再開可能ならばもう、無敵。
②できないならば、次点の策として、テリパラチド製剤を使用できるのか?
③アステラス、今後の株価はどうなる?

といったところでしょうか。

ロモソズマブは、月に一回の皮下注射なので、daily製剤、weekly製剤のデメリットを打ち消してしまいます。
・毎週皮下注するために来院していた患者さんの負担が月に1回になる。
・毎日自己皮下注射する患者さんの負担がゼロ。これは大きい。さらに、自己注射を覚えてもらうための指導の手間がなくなる、病院で行うので確実に投与できる。

ロモソズマブの臨床効果によるのでしょうが、おそらくフォルテオを処方することがなくなるくらいの勢いを感じます。
フォルテオの生き残る道は、もしかしたら、先の②しかないような。。。

本日のまとめ


抗スクレロスチン抗体ロモソズマブ。

PTH製剤は脊椎外科医にとって、大きなブレイクスルーでした。
しかし、テリパラチドには、骨肉腫の問題(?)から、使用期間に制限があります。

ロモソズマブはさらに骨粗鬆症治療の発展を促す薬剤となるのでしょうか。

期待が高まります。

現場では次の決定事項を首を長くして待っています!!

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