バイパープライム®の一番の利点は、正確性の向上ではないか
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はじめに
経皮的椎弓根スクリュー(percutaneous pedicle screw: PPS)システムの登場で、脊椎外科手術にも大きな低侵襲化の波が来ました。
わたしも出血や感染のリスクの低減を肌で感じて、可能な限り経皮的椎弓根スクリューを用いることにしています。
今や、どのインプラントメーカーからもPPSが販売されております。
どんどん進化しており、それぞれのメーカーの癖がありますが、もう飽和状態。
概ねどこの製品も横並びの状態です、、、
ところが、新たにDepuy/SynthesからViper Prime®が発売され、また異なる局面を迎えたぞ、と思っています。
結論から言うと、これまでのPPS手技よりも正確に椎弓根を捉えることができるようになったと感じています。
本日はわたしが使い始めに予想していなかったバイパープライム®の正確性について考察してみます。
パッと見のバイパープライム®の特徴
バイパープライム®の特徴は、なんといってもガイドワイヤーとスクリューが一体化しているところです。
カタログに謳っているのは
・Fewer instruments
・Reduced steps
・No Jamshidi
・Zero gidewires
・One transformative technique
ガイドピンが一体化していて、手順すくなく使いやすいよ、ということです。
なので、単純に
・手術時間が短くなる
・被曝量が少なくて済む
・直介Nsあるいは間介Nsの手間が少ない
などがメリットになるのかな、と思っていました。
実際、2,3回用いると手順に慣れて圧倒的に被曝量が減りました。
準備するNsにも手順が少ないため好評です。
バイパープライムの最大のメリットは正確性だ!
使用してみて感じたんですが、バイパープライム®の真の良さに気づいてしまいました。
それは正確性だと思います。
バイパープライム®のメリットの一つ、
・No Jamshidi
の解釈ですけれども、
「手間が省ける」
以上に、
「より正確を目指せるかも」
という解釈になりました。
PPSは手技上、透視下に一度ガイドピンを刺入するところから始まります。
これまでJプローブを用いてPPSを刺入していましたが、ぎりぎり5mmくらいの椎弓根を捉えるのは結構難しいんです。
バイパープライム®のスタイレットは1.65mm!!
ストライクゾーンが相対的にぐっと広がりますよね。
こんな細い穴でスクリューが入っていくの?
と思ってしまいますが、スレッドの鋭さはバイパーは天下一品。
しっかりスクリューが入っていきます。
ということで、ガイドワイヤー越しに入っていく髄内釘みたいなもので、スタイレットがひとたび椎弓根に収まってしまえば、あとは勝手に海綿骨内に入っていきます。
なので、バイパープライム®のPPS刺入の解釈は、
透視を用いて、単純に1.65mmのスタイレットを椎弓根に入れる手技
と言い換えることができるのではないでしょうか。
かなり精神的ハードルが下がります。
実証
CTの測定上、椎弓根は5mmあるかないか、といったところでした。
果たして5mm径のスクリューを用いるかどうか、悩みどころではあります、、、
ですが、バイパープライム®・スタイレット刺入術を信じて、思い切って5mm径を刺入。
見事に椎弓根を捉えてくれました。
2面透視が重要
PPSは可能な限り、2面透視を用いることをオススメしています。
透視を2面用いることで、比較的初心者でも正確な刺入をもたらしてくれます。
論文を紹介します。
Accuracy of Percutaneous Pedicle Screw Insertion Technique with Conventional Dual Fluoroscopy Units and a Retrospective Comparative Study Based on Surgeon Experience.
Nakahara M. Global Spine J. 2016;6(4):322-8. doi: 10.1055/s-0035-1563405.
この論文は、2面透視を用いたPPS刺入の正確性を術者の経験年数で検証したものです。
脊椎外科医経験年数多いグループと初心者マークグループとでは、どっちも逸脱率に差がありません。
透視を2面で用いることは大切だと思います。
では、なぜ経験年数が多くても逸脱を防げないのでしょうか。
わたしが逸脱しているときは、最初のPAKニードルあるいはJプローブの時点ですでに逸脱しているんだと思います。
手技上、穿刺針がしっかり刺さっていると感じた場合は、逸脱していると思っていませんので、防げません。
バイパープライム®は、刺入するガイドはたった1.65mmのスタイレットです。
なので椎弓根を逸脱しにくいのではないかと思いました。
本日のまとめ
最初は、バイパープライムの良さは、
・手間が少なく
・被曝量が少ない
ことが一番のメリットと思っていました。
今は、他社の従来法より、正確に椎弓根を捉えることができるかも、というのが最大のメリットと考えています。
椎弓根部のスレッドがcortical screwの形状であるのもよいですね。
次回からは椎弓根目一杯のサイズを選択してみようと思いました。
引き続き正確性を検証していきたいと思います。
VIPER PRIMEの特徴
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2018年12月11日
①PAKニードルあるいはJプローブ刺入
②ガイドピン刺入
③タップ
④スクリュー刺入
これが、一撃で済んでしまいます。
透視時間が短縮されるのか?
→されます。
少し、ラーニングカーブが必要です。https://t.co/PuSWQxxfgx
Depuy/Synthesのバイパープライム®について。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月12日
スクリュー先端からスタイレットがはみ出さないようにする方法。
S1椎体や胸椎の場合はスタイレット先端が椎体をつき抜けると一大事です。https://t.co/2lXN5jy0zZ
デピューシンセスのバイパープライム。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年2月22日
ガイドとなるスタイレットとスクリューが一体化していて、手順の短縮が図れます。
2面透視との相性が抜群。
プライムの良さを最大限に引き出すには、2面透視がオススメです。https://t.co/SrjwUtbXN4
コメント
コメント一覧 (2)
いつもありがとうございます。先生のこのコメントでインスピレーションいただきました。バイパープライム、2面透視の相性が抜群ですよね。記事ができました。ありがとうございます。そして、これからもいろいろな方面での活躍期待しています!どうぞよろしくお願いいたします!