脊柱管狭窄症の手術で抜釘する人としなくていい人の手術内容の違いを教えてください
スポンサードリンク
はじめに
Twitterのなかに、
Peing質問箱
というサービスがあります。
匿名で質問が送られてきます。
使い方がよくわからなくてほぼ放置状態ですが、せっかくいただいた質問がありますので、考察してみたいと思います。
「脊柱管狭窄症の手術で抜釘する人としなくていい人の手術内容の違いを教えてください」
できることなら固定なしで手術を行いたいのが本音です
質問の背景を察するに、
・質問者の周囲に、脊椎固定手術をしたあとに抜釘術を受けた方がおられる
・ねじを入れたままの方もいる一方で、どうして抜釘をするのかな
ということだと思います。
わたしなりの手術論は、
「脊柱管狭窄症」の手術では、
・固定が要らないと判断するなら、最初からねじは入れません
・固定が必要と判断したからこそ、抜釘は考えない
です。
ネジの役割
「脊柱管狭窄症」で固定術を選んだということは、背ぼねがぐらぐらゆるゆるで、そのせいで神経が押さえつけられてしまって、痛みがつらすぎる、ということだと思うのです。
脊椎外科医からは「不安定性が大きい」と表現されます。
なので、手術方法は、神経の圧迫を取りのぞくだけでは不十分で、ぐらぐらの部位を固定することで解決しよう、となるのです。
固定するために、おおむね自分の骨を接着剤に用います。
壊れた骨同士は治るときにお互いくっつくという性質を用いるのです。
この作用が完了してぐらぐらの骨が固定したことを「骨癒合が得られる」と表現します。
1年で骨癒合が完成するかもしれませんし、2年かかるかもしれません。
癒合が得られるそれまでの間は、ネジという補強材にがんばってもらうわけです。
抜釘をするときはツライとき
頚椎であれば、プレートを用いた前方固定術後のあとには全例抜去という方針の施設もあります。
それはプレートが気管や食道ふきんにあるため、なにかあったら重篤な合併症が起こるからです。
ただ、質問箱は腰椎病変なんだろうと思います。
それならば腰椎ではどうでしょうか。
どのようなときに抜釘をするかな、、、
骨癒合が得られたあとは、ネジは不要といえば不要なんですが、補強したところはがっちり固定されて動かなくなるので、頚椎と違ってネジが悪さをする可能性はかなり低いことだといえます。
頚椎は気管や食道になにかあるととても怖いことが起こりますが、腰椎はあまりそのようなことが想定できないので、基本的に抜くことはないです。
ただし、固定が得られた場合はネジを抜いても動きがないので、なんら悪いことは起きません。
一方で、固定が得られていないうちに抜釘するとひどい目にあいます。
ゆるゆるに戻ってしまうからです。
・バイキンがついて巣をつくってどうしようもない、とか
・固定がえられているのに、いつまでも皮膚の刺激様の諸症状を訴える(??)
などツライなにかがあるときには抜釘せざるをえない、といったところでしょうか。
ただし、このような後ろ向き抜釘のあとには壮絶な戦いが待っています、、、
脊柱管狭窄症ではなく椎体の骨折だったら?
一方で、「脊柱管狭窄症」ではなく、「骨折」した背骨が治癒するまでのしばらくの間、固定具としてネジをいれているのであれば、骨折が治った後に抜いています。
せっかくの背骨のしなりを骨折を治すために封じ込んでいたわけですから、抜くことでもとの動きに戻したいという意思があるからです。
本日のまとめ
Peingの質問箱に対する返答でした。
普段は脊椎外科医やメディカルスタッフ向けに記事を書いているので、Twitter民へ向けた記事投稿は新鮮でした。
しかし、個別の医療相談のレベルとまではいかないのですが、やっぱり返答は難しいなあと感じました。
ブログという性質上、個別の医療相談はどう考えても無理ですね。。。
あしからず。
頚椎前方固定術のときにプレート。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月18日
安心感はあるけど、不安も大きい。
・プレートのずれ
・スクリューのバックアウト
用いたならば、骨癒合が得られたら全例抜釘という方針もある。https://t.co/2ywMVQSbMb
コメント