マイスパインMCのテンプレートはとても正確
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はじめに
これまでCBT;cortical bone trajectoryはわたしにとってかなり難しいテクニックと結論していました。
理由は、自分の技術では、上手に下穴を作成できないからです。
硬い皮質骨にスクリューを接着させたいのですが、結局、硬さに弾かれて、固くない柔らかいほうの海綿骨の方向に入ってしまう、、、。
勇気をもって硬いところに挑んでいかなければならないのに、結局はじかれて、細くて短いだけの椎弓根スクリューの軌道になってしまう。
(なんちゃってCBTと揶揄される)
その意識を変えてくれたのがメダクタのマイスパインMCです。
よく聞かれる質問に
「テンプレート信じて大丈夫なの?」
があります。
とても正確なので大丈夫です。
3Dプリント技術を用いてスクリューガイドを作成する
マイスパインMCの特徴は、術前の患者さんのCTデータをもとに、患者さんの脊椎を3Dプリンターで再現して、その模型をもとにスクリューガイドを作成するところにあります。
術者はこのテンプレートを直接術野にあてがってガイドにそってドリルで下穴をほり、ガイドピンをもちいてスクリューを刺入するだけです。
ちなみにテンプレートは、メダクタのweb上のプラットフォームにアクセスして、術者が好きなように刺入点、角度、太さ、長さを作成できます。
マイスパインで3Dテンプレート作成中。 pic.twitter.com/dvzHcymo3W
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月26日
テンプレートを信用できるか?
テンプレートを用いてスクリューを刺入することに対して不信感があることは否めない事実だと思います。
テンプレート設置でのジャストフィット感が得られず、不安、不信の状況に陥ったら冒険せずに、従来のPS刺入にコンバージョンするだけです。
が、実際そのような状況になったことは今の所ありません。
術後の仕上がり画像にも大変満足しています。
デザインの開発者でいらっしゃるKaito先生が正確性を検討し、論文にしてくださっています。
Cortical pedicle screw placement in lumbar spinal surgery with a patient-matched targeting guide: A cadaveric study
Takashi Kaito, Keitaro Matsukawa, Yuichiro Abe, Meinrad Fiechter, Xia Zhu, Alfonso Fantigrossi
Cadaverを用いて作成した3Dテンプレートを用いてCBTでスクリューを刺入しています。
透視をまったく用いずに設置した後に、術後CT撮影を行って、答え合わせです。
32/35本(91.4%)でジャストです。
ほかスクリューの椎弓根は逸脱したといっても、すべてのbreachの範囲は、なんと2 mm以内。
超正確です。
2mmって。。。
加えて水平断では、Kワイヤーでなく、ドリルベースでの下穴作成が、さらに正確とのことでした。
複数回のタップが重要
なんといっても、自分好みのスクリューの軌道やサイズをデザインできるのがこのシステムの特徴です。
なのでわたしは、6.0径の45mm長のスクリューをアプライできるテンプレート作成にこころがけています。
このサイズだけですでに通常のスクリューと遜色ないといえますが、それがCBTになると、トルクがとても強力です。
たしかに椎弓根の骨折が起こり得ることもうなずけます。
なので、愛護的な操作のためには段階的な複数回のタップが重要です。
4.0→5.0→6.0と順にタッピング。
うーん、手間だなあ、、、
と感じるようでは、CBTには向かないのかも(笑)
テンプレートに合わせた創の展開に違和感を感じる
ガイドテンプレートのジャストフィット感を演出するためには、ガイドのフックの接地面をしっかり露出することが重要です。
つまり、変性した骨棘や軟部組織をしっかり除去する必要があるのです。
基本的に尾側から頭側への打ち上げになるので、尾側の展開の追加が微妙に必要となります。
この展開は、あくまでテンプレートを設置するための手間、となります。
これらは通常の手術では不要な操作なので、最初はとても違和感があるのは否めないですね。
このようなフィーリングを感じることに嫌悪感をもつ術者もおられるかもしれません。
本日のまとめ
マイスパインMCを用いたPLIFの症例が蓄積されてきました。
テンプレートを用いるという特性上、前述のようなクセがありますが、
・自分好みの安心のスクリューサイズの選択
・十分なトルクの手応え
・そして何よりトランスバースコネクターを入れることができる
・PPSに比べて圧倒的に透視が不要
などメリットがデメリットを凌駕しており、PPS-PLIFにはなかなか戻ることができないのが現在の心境です。
そういえば、、、
テンプレートがツルリと術野から落ちて炊き直したこともありました。
これは最大のデメリットでしょうね(汗)
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わたしはマイスパインMC®を用いたCBTのファンです。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) August 14, 2019
マイスパインMCでは、軌道を予め設計することができます。
なので、マイスパインMCを用いたCBTはXコアととても相性がよいなあ、と感想を持ちました。https://t.co/UbPiPKvrpl
「MySpineMC」というメダクタのシステムを紹介します。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月27日
3Dテンプレートを作成してもらい、ガイド下にCBTスクリューを打つ技術です。
残念ながら、ライセンス制で誰でも使用できるわけではありません。
キャダバーでの研修を必要とし、鋭意全国展開中です。https://t.co/QYmKYIp6hJ
「あなたの背骨の写真から作成したテンプレートをもとに手術します」
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月26日
という新たな説明。
まさにマイスパイン=ユアスパイン。
しっかりと設計図・模型を作成できることにより、径6.0で長さは40-45mm程度のスクリューが刺入できるようになりました。https://t.co/EfzC7hhhT8
CTハンスフィールド値は任意の部位で測定できることが最大の強みです。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月26日
いちばん硬いところを通るようにスクリューを刺入したい
それがCBTのコンセプトですが、硬いところを狙ってガイドを打っても、結局海綿骨方向に向かってしまう。
MySpineMCが解決。https://t.co/KwaZQZU70g
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