バイパープライムのスタイレットのピットフォール;関西弁さんご提供
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はじめに
PPS刺入はMIStの代表格となる手技です。
ガイドピン下に透視を用いて中腔スクリューを打つという特性上、
「ガイドピンのトラブル」
が危惧されます。
石井賢先生はトラブル回避のため、S-wireを開発されました。
S-wiire
はケーブル先端部に特殊加工(撚り線加工)を施したガイドワイヤーです。
骨内にて先端がほつれ、海綿骨に絡みつくことにより、必要以上に前方にも後方にも移動しにくいという特徴を有しています。
これにより、特に脊椎手術におけるペディクルスクリュー挿入などの際、椎体前壁貫通による血管・腸管損傷の合併症リスクを低減することが可能です。
まさにトラブルを避けるための知恵の結晶だと思います。
2面透視法でガイドピントラブルを回避する
わたしは2面透視法を用いて、リアルタイム&ワンショットで側面像での深さの情報を見ながらガイドピントラブル回避に努めています。
Depuy/Synthesからバイパープライムが登場したことで、システムの新たな進化によりこのガイドピン問題が解決に向かったと思った次第でした。
スタイレットを、使用するスクリュー長よりあえてワンサイズ小さいスクリュー長のスロットで装着することで、5mm分長さが不足します。
そうすることで、スクリュー内にスタイレットが全部格納されるというわけです。
本来の使い方とは若干異なりますが、スタイレットがスクリューを飛び出さないようにしたいときの工夫です。
「なるほど!バイパープライムの先端が飛び出さないようにする使い方」
となると、ガイドピンが椎体を抜けることはまずないのだから、側面透視の情報がいらないぞ、という考えにいきつきます。
バイパープライムであれば正面透視だけで、スクリューが入れられるという意見を賜りました。
「そんな手があったのか!バイパープライムだからこそできる正面透視のみのPPS刺入法」
わたしとしては、
・この方法はブログの立場上、非推奨であること
・バイバープライムこそ2面透視法との相性がいい
ということを強調させていただいたつもりでした。
そんなおり、関西弁さんから、以下コメントをいただきました。
ちなみに関西弁さんはわたしのお師匠さんでいらっしゃるのと同時にこのブログ解説時からのコアな読者さんでもあります(笑)
関西弁さんより
ちょっと待った〜!
私はVIPER PRIMEで側面像を確認することで大事故を回避でき経験があります。正面像のみでも安全だという言葉を鵜呑みにしていたら、患者さんの人生も僕の人生も詰んでいました。
正面像のみでの挿入は1000本打って999本安全でも、残り1本が致命的になる可能性があるなら、必ず側面像を確認すべきだと身をもって経験しました。
私には発信する力がないので、よければとぜん先生のブログでアップしていただいても構いません!透視装置2台が理想ですよね〜。羨ましい…
ということで、前置きが非常に長くなってしまったのですが、関西弁さんが遭遇した、バイパープライムでのヒヤリ画像をご提供いただきましたので、記事にします。
通常のシングル透視法でのバイパープライム
関西弁さんのご施設ではPPSはシングル透視法で行っております。
1. 正面像を用いてJプローブなどを椎弓根内壁付近まで刺入
2. 透視をそのまま側面像にまわして深さを確認
3. 適切であればそのままガイドピンに入れ替え、スクリュー刺入
バイパープライムではスタイレット一体型なのでガイドピンの入れ替えの手間がありません。
1. 正面像を用いてスタイレットを椎弓根内壁付近まで刺入
2. 透視をそのまま側面像にまわして深さを確認
3. 適切であればそのままスタイレットを入れきって、スクリュー刺入
ということで、ご提供いただいた正面像を見てみましょう。

とくに違和感はありません。
側面像に回すと、、、

あぶねえ!
スタイレットがギリ椎体!
考察としては、横突起が低形成だと、バイパープライムは重いので滑り落ちる可能性があるのではないか、ということでした。
なので、
バイパープライムでも側面像で深さをしっかり確認することは必須ですよ!
と注意喚起してください!!と。
確かに、この画像は怖いですね、、、
関西弁さんは側面像で深さを確実に評価すべき要注意症例として、
1. 横突起低形成
2. 横突起骨折
3. 椎間関節の肥厚・変形が強い
を挙げられております。

本日のまとめ
関西弁さん、ご指摘&ご提供ありがとうございました。
PPS刺入では、必ず側面透視で深さの情報を確かめましょうね!
バイパープライムではスタイレットがスクリュー内に格納されるといっても、刺入の時点で横突起からずれ落ちてしまうことに気づかなければ、大惨事になりますね!!
バイパープライム、重いんですよねえ。
すべり落ちないように注意しましょう。
やはり理想は2面透視法で刺入点の時点で側面像をみておくことですね!!
関連記事
デピューシンセスのバイパープライム。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年2月22日
ガイドとなるスタイレットとスクリューが一体化していて、手順の短縮が図れます。
2面透視との相性が抜群。
プライムの良さを最大限に引き出すには、2面透視がオススメです。https://t.co/SrjwUtbXN4
MISt: Minimally Invasive Stabilization
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年3月27日
を積極的に取り入れています。
安全に手術を行うため、透視を2面用います。
新年度。
新しいope看護師さん、放射線技師さん、研修医、専修医にむけて
脊椎MIStにおける2面透視の設定の仕方についてのまとめです。https://t.co/7LkSDjjqx6
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