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はじめに


神経はさまざまな通路、トンネルをくぐりぬけていきます。

その部位が狭くなり、神経に圧迫が加わったり、牽引や摩擦などの刺激が加わったりすると、その神経領域での痛みやしびれ、麻痺が生じます。

それがいわゆる、絞扼性神経障害というものです。

・・・とこれは、タリージェ販売に伴って、製薬会社で勉強会をしたときの講義の内容です。

その中で、どうしても気になった
上殿皮神経障害
というものを取り上げたいと思います。

非特異性腰痛と診断される腰痛


腰痛の原因は、一般的には、
・特異性腰痛
・非特異性腰痛

とに分けられて、そのうち8割が非特異性腰痛とされます。

つまり、画像上の問題点が見つからないけども、腰が痛い、というもの、、、

心理社会的問題が関わっている可能性があり、たしかに場末の臨床でもたびたび経験されます。

ただし、それではやっぱり画像診断主義になってしまうので、丁寧な診察による診断が大事だと思っています。

そうはいうものの、実際は難しい、、、

筋筋膜性腰痛、椎間板性腰痛、椎間関節性腰痛、分離部腰痛はブロックを駆使して、ある程度診断が可能です。

難しいと感じているのは仙腸関節に伴うもの。

そして、もうひとつ、わたしはまだ上殿皮神経障害による腰痛を診断したことがないのです。

というより、診断の仕方がわからない。自信がない。。。

「上殿皮神経障害は、まさにこれだ!!」
というものを経験したことがないのです。

まあ、診断が未熟、といわれればそうだと思います。

忘れないように、まとめます。



上殿皮神経障害


末梢神経障害なので、もちろん、非特異性腰痛と診断されていることだと思います。

上殿皮神経が胸腰筋膜を貫通して、腸骨稜縁を乗り越える部位で絞扼されることで、腰痛の原因となるようです。
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歴史的には1957年にStrongとDavilaが報告したとされます。

CTやMRIでは診断できません。

診断には丁寧な診察が重要。

具体的には
①触診:絞扼を受けている胸腰筋膜の貫通部に一致した圧痛が特徴
腸骨稜上で正中から7-8cm外側部くらい
②上殿皮神経ブロック:ブロックによる腰痛鎮痛作用

頻度としては、全腰痛の1.6〜12%と報告されています。

この数値は、決してまれな腰痛ではないといえます。

明らかにわたしの診療では見逃されている、ということになります。

難治症例には神経剥離術を行っている施設もあり、満足度の高い腰痛治療となっているそうです。

本日のまとめ


絞扼性末梢神経障害による腰痛としての上殿皮神経障害をまとめました。

腰痛のなかにもPain DETECTで末梢神経障害の要素が含まれていることも多く、参考になると思いました。

実臨床ではリリカが腰痛に効果的なことがあります。

そのときはこのような末梢神経障害が関与しているのかもしれません。

がんばってより丁寧な診察をめざして、腰痛の原因をしっかり説明し、一緒に治療してあげられる医師になりたいものです。

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