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はじめに


PTH製剤のみならず高スクレロスチン抗体製剤が導入されました。
ますます骨粗鬆症加療が発展していくことだろうと思います。



骨粗鬆症治療評価のマーカーとして
・骨吸収マーカー:骨芽細胞が新しい骨を作っている様子を測るマーカー
・骨形成マーカー:破骨細胞が古い骨を壊している様子を測るマーカー
があります。

わたしは骨粗鬆症の治療に、
・DXA
・本人のADLの変化
・画像での既存骨折の有無、数
・骨形成マーカーとしてP1NP
・骨吸収マーカーとしてTRACP-5
などを評価しています。

本日はP1NPについてです。

P1NPはプロコラーゲンの切れ端


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骨の基質蛋白の約9割はⅠ型コラーゲンで構成されております。
このⅠ型コラーゲンの生成に役割を果たしているのが骨芽細胞です。

骨芽細胞は可溶性プロコラーゲンを分泌しています。
このプロコラーゲン、片割れがN末端、反対の片割れはC末端です。

このプロコラーゲンのN末端とC末端が切断されて、成熟Ⅰ型コラーゲンが生成されるのです。

このときに切り離されたN末端側の切れ端が、P1NPなのです。

P1NPを略さなければ以下のようになります。
Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロペプチド
つまり、「わたし、Ⅰ型プロコラーゲンのN末端側のプロペプチドですよ」、と名乗っているわけです。

いろいろわからない単語が出てきました。

Q. プロコラーゲンって?
成熟コラーゲンになる前の状態です。

Q. プロペプチドって?
タンパク分解を受けてタンパク質分子が成熟されるときに切断、除去される部分です。

骨形成の時期


骨形成には3つのステージがあります。
1相:増殖期
2相:マトリックス形成期
3相:石灰化期

増殖期ではⅠ型コラーゲンの形成が盛んです。
なので、切れ端のP1NPも一緒に放出されてきます。

マトリックス形成期、石灰化期の骨の成熟の時期では、骨でのアルカリフォスファターゼ産生が盛んになります。
これはすなわちBAPがよく放出されているということになります。

ということで、ひとくちに骨形成マーカーと言っても、骨芽細胞の成熟の過程で放出の時期が異なります。

P1NPの臨床検査上の特徴


なので、P1NPは骨芽細胞の初期分化段階からよく産生されているということになります。

よって、より早期の骨形成の指標になると考えられています。

代謝マーカーの特徴として
・日内変動が乏しい・食事の影響を受けにくい(早朝空腹時採血じゃなくてもOK)
・腎代謝が少ないので腎機能低下の影響がほとんどない(腎機能障害高齢者でも大丈夫)
・肝代謝なので、肝機能障害があれば高値を示すかも

PTH製剤を導入して、1ヵ月後くらいにP1NPを測定し、治療前の値と比較してみましょう、というのはこういった理由からになります。

本日のまとめ


骨形成マーカーについて、あまり理解していなかったことがわかりました(汗)

勉強していたつもりになっていたんですね。

しばらく骨粗鬆症治療のアップデートを図ります。