カテゴリ:
スポンサードリンク
とぜん201903-.001

はじめに


椎間板ヘルニアはとてもとても痛いです。

代表的な痛みは、坐骨神経痛です。

「痛みだけなんとかしてほしい」

いつも言われますが、原因の治療なくして、痛みだけ取るなど、到底ムリです。

ヘルニコアという選択肢


そんななか、2018年8月から椎間板ヘルニアの治療剤としてコンドリアーゼ;ヘルニコア®というものが登場しました。

コンドリアーゼは髄核のグリコサミノグリカンを分解する酵素を注入する治療です。
髄核内プロテオグリカンのGAGを分解することによって、椎間板のサイズを縮小し、それによって含水量、椎間板内圧を減じて、ヘルニア塊を減少させる作用が期待されております。


わたしのイメージは、椎間板の水を飛ばしてパサパサにする、、、みたいに感じています。

局所麻酔下に注射するだけなので、かんたんです。

一生に一回ですよ!


ただし、注意があります。

何回でも注射できるわけではないのです。

ヘルニコア治療用パンフレットにばっちり記載されております。

「過去にヘルニコアによる治療を受けた方は再度ヘルニコアの治療を受けることはできません」

再投与によってアナフィラキシーショックを起こす可能性が高まるからです。

例として日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aを抜粋します。

ハチに刺されると、まず激しい痛みが出現し、赤く腫れます。これはハチ毒の刺激作用によるもので、初めて刺された場合、通常は1日以内に症状は治まります。しかし、2回目以降はハチ毒に対するアレルギー反応が加わるため、刺された直後からジンマシンを生じたり、刺されて1~2日で強い発赤、腫れを生じたりします。この反応には個人差が大きいですが、ひどい場合は刺されて30分~1時間で意識消失や血圧低下などを生じて、死に至ることがあります。これはアナフィラキシーショックと呼ばれる症状で、ハチ刺されによる死亡事故はこの特殊なアレルギー反応によるものです。

・・・ヘルニアの治療で死に至るなど考えたくもないですよね。
IMG_20191110_094955

アレルギーを甘く見てはいけない


ですから、ヘルニコアの治療を受けた方は、しっかり自分の既往にヘルニコアの治療歴を記載しておかなければなりません。

まだ治療が始まったばかりなのでこのような事故の報告は聞いておりませんが、5年、10年後にはどうなっているでしょうか。

患者さんは「椎間板ヘルニアのブロック注射をうけた」くらいにしか申告しないかもしれません。

あるいはヘルニコアの治療歴をもう忘れているかもしれません。

覚えていても再発した坐骨神経痛のつらさのために、もう一回ヘルニコアを受けようと治療歴を隠されるかもしれません。

なので、医者側は2回めはアナフィラキシーショックの可能性が高まることを十分に理解してもらって、ヘルニコアの治療は2回受けられないことをしっかり理解してもらわなければなりません。

本日のまとめ


ヘルニコアが登場して1年が過ぎました。

日々の臨床でヘルニコアの治療が徐々に広まっていることを実感します。

ヘルニコアに2回目はありません。

患者さんにしっかり説明しておきましょう。

甘く見てはいけません。