マイスパイン、ドリル先端が滑る!!
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はじめに
わたしは、Medactaの3Dプリント技術を用いた、患者適合型テンプレート「マイスパインMC」の大ファンです。
2018年10月ころから本格的に導入しました。
マイスパインMCの記事
骨粗鬆症症例にCBTでfacet fusionも組み合わせてみる
に対して、以下のような質問を頂きました。
CBT術者です。
マイスパイン数例使っているのですが、毎回下穴作る際にドリル先端が皮質を滑って思った向きに下穴が作れないんですよね。展開の仕方が悪いんでしょうか?何かコツがあればご教示いただけませんでしょうか。
こんな場末のブログにコメントいただきまして、誠にありがとうございます。
わたしなりに考えていることを述べます。
わたし、MySpine MCラブなので、長文ご容赦ください。
ドリル先端が滑る、よくわかります
まず、ドリルの先端が皮質を滑ってしまう、という現象は、とてもよくわかります。
このようなことを記載していいのかどうか、わかりませんが、正確と謳っておきながら、ツルッと滑ってしまうことは、おそらくほとんどの方が経験されているのではないでしょうか。
それもそのはず、刺入点は、pars interarticularisのちょうどなめらかな曲面をなぞるような方向に向かっていきますものね、、、
この現象はマイスパインMCが導入された黎明期は、メーカーもあまり認識していないことだったように思えます。
わたしも担当のMRさんと一緒に何度も話し合いながら、原因を考えました。
いくつか、まとめておきます。
わたしたちは以下4つを考えました
わたしたちは以下4つを考えました。
①展開の問題
②刺入の仕方の問題
③テンプレートの問題
④答えあわせの方法
①展開の問題
まずはをとこさんがおっしゃられるように、展開の問題です。
最低限、テンプレートのフックが設置される範囲は十分な展開が必要です。
わたしは、最初に滑りやすいと感じたのは上位のスクリューの刺入点作成のときでした。
上位の椎間関節の変形の影響をモロに受けて、上位のフックのおさまりが悪いときがあります。
その時は上位関節突起の下端まで電気メスで露出するようにしています。
下位のスクリュー刺入点作成でぶれたときは、下位椎弓フックの下端受けが悪かったです。
つまり、下位椎弓尾側の黄色靭帯の浅層の剥離が不十分だったことが原因でした。
通常テンプレート使用しないPLIFであれば、上も下もここまで展開する必要がありませんから、不慣れなのは否めない、、、
フックがしっかり面で受けれるようになれば、ドリルを回してもテンプレートがぶれないです。
テンプレートがぶれるときはドリル先端が滑りやすいので、
①上位であれば、フック先端が関節突起下縁
②下位であればフック先端が椎弓下部
が干渉していないかチェックしています。
②刺入の仕方の問題
Parsの曲面の皮質骨内に沿ってドリルが入ります。
なので、ドリルを早く入れようと押してしまうと皮質骨に入らずに表面を滑って外に向いやすいです。
わたしは、最初の刺入点の作成のときは、押す力をなるべくかけないように、ゆっくり時間をかけて行います。
4-5秒くらいだと思います。
それでも滑りそうなときは、ダイアモンドバーなどで軽くノッチをつくるのも手だとおもいます。
③テンプレートの問題
テンプレートの形自体が、U字型をしています。
経験が浅い時は、フックを面でしっかりとらえたいと思うあまりに、テンプレートをかなり強い力で押さえ付けがちです。
強い力で押し付けると、もとの形から若干開きが生じるかもしれません。
すると、より外に滑りやすくなりますし、術前の作成図より外に向かった軌道でスクリューが刺入されてしまうことになります。
なので、その可能性を嫌って、さらに一本横に支柱を作成してもらうことも可能のようです。
ちょうど神社の鳥居のようなイメージです。
わたしは見たことはありませんが、安定感が増すことは間違いありません。
こんな感じでしょうか?


担当MRに相談してみてください。
④答えあわせの方法
被曝量が少なくても済むというのもマイスパインMCのメリットのひとつです。
そうはいっても、滑っているかも?、とおもったら、たとえ透視時間が増えても、答え合わせを透視下に行ったほうがよいと考えています。
わたしは現時点では、ドリル刺入の行程を以下3つにわけて手応えを感じています。
①刺入点作成、最初の皮質骨抜けた
②椎弓根内
③椎体内、ドリルストッパー最後まで
この3つで不安が生じないときは、透視はワンショットだけです。
どこかの過程で不安を生じた場合は、いったんそこでドリル刺入をやめて、ドリルを抜いて、
1. テンプレートを外して、術野を確認する
2. 途中の下穴に、ガイドピンを指して透視で確認してみる
3. サウンダーでさぐってみる
4. すでに反対側を作成していたら、反対側にもピンを刺して、刺入側のピンとを透視で重ねてみてtrue lateralになるかどうか確認する
5. テンプレートを再度設置して、テンプレート越しに左右ガイドピンを入れて透視でピン同士を重ねてみて、再度true lateralになるか確認する
ガイドピンは左右で太さが異なるものを使うことがおすすめです。
サウンダーとガイドワイヤーとか、太さの異なるKワイヤーなどです。
本日のまとめ
このような場末のブログに足を運んでくださり、ありがとうございます。
まだまだ40例超程度ではありますが、それでは経験が増えてくると、ドリルが滑らなくなるか、といえば、実際はそうでもないです。
やっぱり滑るんです。
でもそれが問題にならなくなるといいますか、いつのまにかそれなりに対処できるようになっています。
身も蓋もない話ですが、最終的には、テンプレートにこだわらない、というのも一つだと思います。
フリーハンドにはなりますが、従来の軌道とは違えど、椎弓根スクリューであることには変わりありませんので、プローブで下穴を手探りで作成するということもアリだと思います。
偉そうなこといってすみません。
MySpine MC ラブ、長文ご容赦ください。
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