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とぜん2020.001

はじめに


蛋白分画、検査していますか?

どうやら、蛋白分画を提出しているのは、わたしが施設内でナンバーワンらしいです。

次いで内科の先生、とのこと。。。

その是非は別として、われわれにとって、タイトルのように

「蛋白分画が6分画に分離されるようになりました」

といっても、ふ〜ん、で??という感じではないでしょうか。

わたしもそれ自体がどういう意味なのかはよくわかりませんが、この結果、スクリーニングの威力が増す、ということらしいです。

なんのスクリーニングか、といえば、それはもちろん、M蛋白の検出です。

蛋白分画を骨粗採血のセットに


蛋白分画を測定するだけで、さまざまな病態の把握が行えます。

とはいっても、わたしにとっての興味は、多発性骨髄腫、ということになります。

椎体骨折が、骨粗鬆症によるものか骨髄腫による病的骨折なのか、はたまた未診断の骨髄腫の方がたまたま骨粗鬆症性骨折を起こしただけなのか、それははっきりわかりません。

ただ、わたしなりに自信を持って言えることは、MRI画像だけで100%診断することはできない、ということです。

なので、基本的には骨粗鬆症の基本検査に蛋白分画を組み込んで測定するようにしています。

蛋白分画を測定することで、典型的には病態ごとに下記の表のような変化が得られるようです。
伊藤喜久 Medical Technology Vol.39 278-284. 2011
スクリーンショット 2020-04-03 13.01.24


まあ、わたしは、M蛋白様バンド検出ありなし、というところしか見ていないですが(汗)

血清M蛋白が検出されやすくなった


LSIメディエンスのパンフレットによれば、感度は従来法83%から98%にアップしています。

かなり検出度が高いですね!!

M蛋白血症ひいては多発性骨髄腫を早期発見できる可能性が高くなったと言えるでしょう。

ちなみに、正常血清の6分画は、アルブミン、α1、α2、β1、β2、ガンマ、です。
β領域がさらにβ1、β2に分離されるようになりました。
Club SRL
スクリーンショット 2020-04-03 13.13.39


本日のまとめ


詳細の説明はわたしにはできませんが、従来のセルロースアセテート膜電気泳動法から、キャピラリー電気泳動法になることで、蛋白分画が5分画から6分画に分離されるようになりました。

M蛋白の同定の感度が高くなることで早期発見につなげられることと思います。

多発性骨髄腫は診断前に腰痛を主訴に整形外科・脊椎外科を初診していることが多く、診断の遅れが問題となります。

採血に蛋白分画を入れるだけで、スクリーニングができると思うので、腰痛や椎体骨折の日常診療の採血で蛋白分画を測定することをおすすめしています。

・所要日数は2〜3日
・点数は18点
・血清0.4mLで可能。

わずか18点でスクリーニングできるんです。

わたしは有用と思って、骨粗の基本検査に組み込んでおります。