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はじめに


先日、他院から頚椎症による歩行障害での手術適応についての紹介がありました。

ありがたいことに、頚椎と腰椎のMRIを持参されており、すでに診断がついているのかと思いました。

頚椎症性脊髄症による痙性歩行障害であれば、すでに索路障害をきたしていることになるので、まず間違いなく手術を考慮したほうがよいでしょう。

胸髄病変を疑う


・・・診察してみると、上肢にはまったく症状がありません。

理学所見も上肢には皆無です。

一方で、感覚障害はT10-12くらいから認めており、持参の頚椎MRIを拝見したところ、頚椎の病変は軽度から中等度です。
腰椎に関して言えば、狭窄病変はごく軽度です。

頚椎の手術適応というよりも、まず胸椎病変を検索しないといけないな、と胸椎MRIをオーダーしました。

ところが思いと裏腹に、胸椎MRIにも所見がありません。

緩徐に下肢症状が進行しており、下肢の症状があることは間違いありません。

感覚障害は下肢先端から上行しており、髄内腫瘍や血管病変

これは困りました。

まずいったん神経内科にコンサルトして受診していただきました。

しかしやっぱり所見としては、脊髄症状じゃないか、と引っかかるものがあるので、occult dural AVFなんかも考えておかないといけないかな、と思っています。

AVF、occult AVFの診断


って、occult AVFってどうやって診断つけるものでしょうか。

通常AVFは、MRIで動脈血が流入した静脈のT2 flow voidを認めます。

流入血管は蛇行し拡張しており、診断は容易です。

脊髄症は、congestion myelopathyなので、脊髄内に浮腫性変化を示すT2高信号を認めることもあります。

なので、MRIを取りさえすれば、診断は比較的容易なんですが、胸髄に多く、胸椎MRIを取り遅れることが診断の遅れにつながることが多い疾患です。

MRIや血管造影で診断がつかなかったAVFは、occult AVFと呼ばれます。

ミエロCTで脊髄背側などに拡張した静脈による造影剤 の欠損像を認めることがあり、dorsal filling defectと呼ばれ、診断に有用なようです。
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本日のまとめ


引き続き、神経内科の先生と患者さんの経過の連携を密に取り、CT angioやCT myelographyなどのオプションを提言していこうと思っています。

神経内科的疾患であれば、それもまた勉強ですね。