ナビゲーション&ロボットアームがもたらす近未来脊椎手術
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はじめに
脊椎外科領域にもロボットを用いて脊椎に正確にスクリューを刺入する技術が臨床応用されつつあります。
術中ナビゲーションをもとに軌道を選定し、つつがなく刺入されるというものです。
技術の向上に伴い、安全性や正確性が担保されることは、患者さんにとっても、術者にとっても素晴らしことです。
事実、スクリューの誤刺入は神経症状や血管臓器症状などを引き起こし、入れ直しを余儀なくされた経験もあるでしょう。
従来技術と比べて費用対効果はいかがなものか


論点になっていることは、
「ロボット手術による改善が、従来の術者(ヒト)による技術と比べてどれだけの改善が得られるのか」
ということです。
船や車、飛行機などは、二足歩行ではありえない速度で、たどり着けない空間まで移動できるようになりました。
スマホはいまや通信のみならず電子マネーやエンタメの領域にまで機能し、生活になくてはならないものとなりました。
脊椎の手術用ロボットは手術にどこまで影響を及ぼしてくるのでしょうか。
現時点での脊椎ロボット手術の論文の多くは、
「確かに正確。しかし現状では多大な費用がかかる割には、従来の技術の最小限の改善しか提供しない。」
という指摘が多いです。
通常の手術では脊椎ロボット手術の費用対効果は、他科より群を抜いて低いようです。
ロボットが優位となる症例は必ずある


実際の手術では解剖学的なランドマークを把握し、ランドマークに合わせてインプラントを刺入していきます。
透視下手術でも同様で、透視に写っている解剖学的特徴にあわせて刺入していきます。
なので、正常な解剖学的構造が把握しがたい症例にとっては断然ナビゲーション&ロボット手術に敵いようもありません。
具体的には腫瘍であったり、外傷の一部や、先天奇形、変形、DISH症例などでしょうか。
もしくは肥満体型だったり重症骨粗鬆症なども透視では判定しがたいです。
なかなかそのような症例を選定してスタディーを組むことは難しいので、論文でロボット手術の優位性を証明しにくいですよね。
あるいは、頚椎や頚胸椎移行部、骨盤部など、手術部位によってはロボット手術の優位性を証明できるかもしれません。
本日のまとめ
いずれにせよこのような高額医療機器は、一介の場末医者に扱えるようなものではありません。
ロボット技術が大衆化してくるまで、わたしは粛々と手術を遂行していくより他ありません。
何が言いたかったかというと、テンプレートの良さですね。
テンプレートは費用対効果に優れていると実感しています。
ナビゲーション手術も結局最後は術者によるフリーハンドです。
困難が予想される症例ではたとえナビゲーション手術でも積極的にテンプレートを用いるつもりです。
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