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はじめに


頚胸椎移行部のインストゥルメント手術は、とても嫌です。

術野は深いですし、術後の痛みは半端ないです。

上肢をばんばん動かすと肩甲骨が動いて、創部が開いてしまいます。

嫌な思い出がよぎります。。。

そして、頚胸椎移行部は意外によく折れる場所です。

肋骨や肩甲骨、上腕骨などが折れているときや、頭部に軸圧がかかったときなどで項部や肩甲間を痛がっている場合は、頚胸椎移行部の椎体損傷を積極的に疑っていかなければなりません。

透視下PPSではどの高位まで挿入可能か


これまでわたしの透視下PPSの最高位はT3まででした。



今回は多発肋骨骨折、肩甲骨骨折を合併したT4、T5の破裂骨折で強い局所後弯変形を呈した症例を経験しました。

いまにも脊髄症状が出そうです。

PPSでの2 above, 2 belowができたらな、、、、

そうなると固定範囲はT2からT7までです。

わたしの施設にナビはありません。
T2は透視で視認できるだろうか、、、

不安はありましたが、本症例では、なんとか視認できました。

体位とテーブルの工夫


その時の術前の体位とテーブルをしっかり画像におさめておけばよかったのですが、失念していました。

上肢をなるべく腹側、頭側にもっていって、肩がなるべく側面透視遮らないようにしたいです。
そして正面透視はかなりcranialに倒さないと上位胸椎の後弯に対応できません。

そのため、
①胸部に厚めのパットを挟んだ
②手台の高さをぎりぎり腹側においた
③腕は頭側にして愛護的に半分バンザイしているような姿位にした
④手台は左右反転で、前後逆にして、ベッド先端に連結した
⑤ベッド頭側を縦転
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これでドレープ前に正面透視と側面透視で確認してみたところ、なんとかT2まで視認することができました。

これならいけるかも、手洗いして無事にPPSで刺入できました。

皮膚切開は正中切開のほぼ倍でしたが、筋肉を電気メスで骨膜から剥離することがないので術後の回復は従来のオープンより早かったように感じます。

しかし、難しかった、、、

本日のまとめ


視認できない前提で、オープン手術の準備をしておりましたが、なんとかPPSでいけました。

Oアームは頚胸椎移行部に大きな力を発揮するでしょうね、、、

羨ましい限りです。

今回、症例によってはT2までならなんとかPPSで仕上げることができることを経験できて、大きな財産となりました。

ただ、透視で見えづらいのであれば、最小侵襲にこだわってはいけません。

最小侵襲だからといって安全が担保されなければ、本末転倒ですから、、、

見えないならば「openで見る」が鉄則です。