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202004とぜん.001

はじめに


硬膜損傷はとても気分が滅入る合併症の一つです。

文献的には、腰椎の術中硬膜損傷の頻度は2~10数%程度と報告されていることが多いです。

決して頻度の低い数値ではありません。

硬膜損傷の頻度は、患者側の難易度から、術者の経験値など多くの要素があるため、一概には比較できませんが、脊椎外科医何年生になれば、起こさなくなるのでしょうか。。。

0-5年目、5-10年目、10年超え、、、

わたしの場合、結局ある一定の率で起こり続けています、、、未熟、、、

さて、本題から反れてしまいましたが、本日話題にしたいことはフィブロガミンについてです。

術後難治性髄液漏にフィブロガミンが効くかもよ、ということらしく、記事にあげてみました。

フィブロガミンについて


フィブロガミンってあまり馴染みある薬剤ではありません。

というのも、わたしは使用経験がまったくないのです。

不勉強で申し訳ないのですが、学会でも拝聴したことはありません。

つたないわたしの文献検索技術ではあまりヒットしてくれませんね、、、

脳外科領域での頭蓋底手術後の髄液漏に対する有効性を示す症例報告が散見される程度です。

「フィブロガミンP静注用」はCSLベーリング株式会社の商品です。

血漿分画製剤で、第XIII因子の濃縮製剤といったところのようです。

血漿第XIII因子について


血漿第XIII因子については、こちらの文献に詳しいです。

「術後髄液漏および低髄圧症候群に対する 血液凝固第13因子の効果について
魚住洋一、石原正一郎、甲村英二 Spinal Surgery 31(2)135‒139,2017」

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血漿第XIII因子は止血要素である一方で、創傷治癒の過程にも重要な酵素のようです。

手術侵襲や出血によって血漿第XIII因子低下し、その結果出血傾向や創傷治癒遅延・瘻孔などが生じることがあり、このようなときに血漿第XIII因子を補充することで軽快が得られることがあると。

ちなみに、先天性第13因子欠損症は、
「出血、創傷治癒遅延、習慣性流産が三主徴」
とのこと。

なんか、過去に苦労した症例って、もしかして血漿第XIII因子の活性が低下していたのでしょうか!?!?

効果・効能について


効果・効能について転載しておきます。

①先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向
②血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔
③IgA血管炎における下記症状の改善
腹部症状、関節症状

<①先天性及び後天性血液凝固第XIII因子欠乏による出血傾向>
1日量4~20mLを緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状などにより適宜増減する。

<②血液凝固第XIII因子低下に伴う縫合不全及び瘻孔>
通常、成人に対して1日量12~24mLを緩徐に静脈内投与する。ただし、本剤は急性炎症、急性感染の消褪した後で、血清総タンパク、血清アルブミン等に異常が無く、縫合不全、瘻孔が存続し、血液凝固第XIII因子が70%以下に低下している患者に投与すること。なお、5日間投与しても症状に改善が認められない場合には、投与を中止すること。

<③IgA血管炎における下記症状の改善>
通常、1日1回12~20mLを緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、血液凝固第XIII因子が90%以下に低下している患者に投与すること。原則的に3日間の投与とする。

本日のまとめ


髄液漏についてもですが、創傷治癒遅延の症例なんか第⑬因子活性を測ってみてもいいのかな、、、

フィブロガミンPの投与経験や、第⑬因子の測定経験があれば、ぜひご教示いただけませんでしょうか。

第⑬因子補充で髄液漏が治ったら嬉しいな。。。